並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 102件

新着順 人気順

バタイユの検索結果1 - 40 件 / 102件

  • 岡本太郎しか勝たん - gfnweb

    近年の若者には「推し」がいたりする.「推し」という語が少なくとも原義的には 自身-対象 ではなく 自身-対象-対象を勧められる第三者 という図式を有している点は2020年代の各個人と社会との関係の在り方を写すようで面白いが,まあその話自体に立ち入るのは置いておくとして,20代も終了目前で別に若くもない筆者にもその意味の「推し」の1人くらいはいる.岡本太郎だ.岡本太郎については既に多くの人が熱弁しているけれど,このベラボーな巨人について自らの言葉で書き留めておかねばならぬという欲を私も抑えがたい.だから「後から見返したら恥ずかしいだろう」などという卑しい懸念を唾棄して書くのである. 岡本太郎自体はほとんどの方がご存知だろう.「芸術は爆発だ!」などのやや奇抜な言動で知られ,“奔放なエキセントリックおじさん” のイメージが広く共有されているかもしれない.だが,そうしたイメージは全く一面的である上

    • アンジェラ・ネイグル 著『リア充を殺せ! ―― 匿名掲示板とカウンターカルチャーは、いかにしてオルタナ右翼を育て上げたか』(2017年)/80点 - リベラルアーツの扉:海外教養書を読む

      紹介(評者・田楽心 Den Gakushin) 原題 著者について はじめに オバマの希望からハランベの死まで 第一章 リーダー不在のデジタル反革命 第二章 逸脱のオンライン・ポリティクス 第三章 オルタナ右翼のグラムシ主義者たち 第四章 ブキャナンからヤノプルスまでの保守文化戦争 第五章 「Tumblr」からキャンパス・ウォーズへ:美徳のオンライン経済における希少性の作り方 第六章 「男性圏」を覗いてみると 第七章 よくいる女、リア充、マスゴミ 結論 「ネタだよ」と言われてももう笑えない 評価(評者・田楽心) お知らせ ★その1 サイト運営者の一人、青野浩の翻訳書が出ます。 ★その2 友人が最近本を出したので、よろしくお願いします。 紹介(評者・田楽心 Den Gakushin) 2016年のトランプ当選を受けて、アメリカ人の多くが、2008年のオバマ当選時との「不可解なギャップ」に首を

        アンジェラ・ネイグル 著『リア充を殺せ! ―― 匿名掲示板とカウンターカルチャーは、いかにしてオルタナ右翼を育て上げたか』(2017年)/80点 - リベラルアーツの扉:海外教養書を読む
      • 1981年に坂本龍一が選んだ140冊の本

        先日TwitterのTLを眺めていたら、1981年に当時29歳の坂本龍一がおすすめの本140冊を選出しているチラシの画像を見つけました。どうやら紀伊國屋書店による企画だったようです。 「坂本龍一が選んだ。坂本龍一の世界が見えた。The 龍一 BOOK HUNTING」と題されたこのチラシは、残念ながら誤字脱字があったり、分野別に整理されておらず見にくかったり、40年後の今日から見ると書誌情報の追加が必要だったりと難点があるので、これらの不備を補完してみました。 案外に詩集が多いことと数学書が含まれていることが興味深いですね。 「坂本龍一が選んだ。坂本龍一の世界が見えた。The 龍一 BOOK HUNTING」 【音楽】 柴田南雄『楽のない話——柴田南雄自選著作集』、全音楽譜出版社、1976年。 柴田南雄『音楽の骸骨のはなし——日本民謡と12音音楽の理論』、音楽之友社、1978年。 高橋悠治

          1981年に坂本龍一が選んだ140冊の本
        • 必読書コピペにマジレスしてみる・海外文学編(1)

          方針読んだ感想を思いついたままに、友達にだべるみたいに書く高校卒業後に読んだ本も含める読んだ人が「面白そう」と思ってくれたらうれしい文学はいいぞ古典はいいぞ時間の無駄なんかじゃないぞ、最高のエンタメだ元増田→anond:20210210225201ホメロス『オデュッセイア』「イリアス」は捕虜の奴隷女の配分をめぐった交渉がこじれた結果、勇者が拗ねて戦場に出ず、味方がどんどん死ぬところからスタートするので、昨今の倫理観からは問題があり、神話初心者にはこっちをお勧めしたい。「オデュッセイア」も家で待っている妻を忘れてよその女のところで数年過ごすが、まあ魔法をかけられていたということでこっちのほうがマシだ。舞台もあちこち移動するから飽きないし。 ユニークなのは、劇中劇的にオデュッセウスが時間をさかのぼって事件の進展を語る箇所があることで、ホメロスの時代にはすでに出来事が起きた通りに語る手法が飽きら

            必読書コピペにマジレスしてみる・海外文学編(1)
          • 世界を制する「ヘンタイ」─それは消費者の内面的な矛盾の表れだ | 仏紙「ル・モンド」が分析

            「kawaii」、「emoji」、「sushi」などとともに、「hentai」も海外へ流出した日本語の一つだ。だが、日本での「変態」とは少々意味が異なり、海外での「ヘンタイ」は漫画やアニメのジャンルの一つ、「ポルノ漫画」、「ポルノアニメ」を意味する。 「ファンタスム(幻想)」はどこで生まれるのか──? ポルノ関係者にこの質問を投げかければ、「日本」という答えが返ってくる可能性が高い。数字は明白に示している。大手ポルノ共有サイト「Pornhub」で、2019年からもっとも多く検索されたワードは「ヘンタイ」(ポルノ漫画、ポルノアニメ)、そして2番目は「日本人」である。 この流行は世界的なもので、ポーランドからメキシコまで、男女問わず長く続いている。まったく驚くべきことだ。 そこで数々の疑問が浮かぶ。長らく青少年のコンテンツだった漫画が、どうして大人の隠れ場に入り込んできたのだろうか? 文化的に

              世界を制する「ヘンタイ」─それは消費者の内面的な矛盾の表れだ | 仏紙「ル・モンド」が分析
            • メタバースが死んだのは、シリコンバレーが「楽しみ」というものを分かっていないから? - YAMDAS現更新履歴

              Why did the metaverse die? Because Silicon Valley doesn't 'get' fun Components の作者であるライターでデータアナリストのアンドリュー・トンプソンの文章だが、メタバース、すっかり廃れたよねという話から始まる。 それは単なる誇大広告の失敗という話に留まるものではなく、シリコンバレーが「楽しみ」、つまりは有意義に時間を浪費するというものを理解できていないからだと彼は分析する。 理論上では、シリコンバレーとゲームは完璧にぴったりな組み合わせに見える。だって、ゲームはコードでできているし、特定のハードウェア上で動作する。しかし、共通点はそこまで。ライフスタイルの「生産性」や「最適化」を重視するシリコンバレーのエコシステムは、ゲームに合ってないというのだ。 もちろんシリコンバレーからも Zynga などモバイルゲーム会社は生

                メタバースが死んだのは、シリコンバレーが「楽しみ」というものを分かっていないから? - YAMDAS現更新履歴
              • 後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」

                暗黒批評家・後藤護が著した書籍『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社)は、耳慣れない「アフロ・マニエリスム」なる概念を軸に、これまでにない切り口で黒人音楽史を捉え直した一冊だ。アフロ・マニエリスムとは、ドイツのジャーナリストで文筆家のグスタフ・ルネ・ホッケが1950年代に再評価した後期イタリア・ルネサンスの美術様式「マニエリスム」の理論を換骨奪胎し、ブラック・カルチャーに応用したもの。後藤護は、このアフロ・マニエリスムによって、奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代までを総括しようと試みた。 ジャズ・ミュージシャンにして文筆家の菊地成孔は、本書『黒人音楽史』をどのように読んだのか。リアルサウンド ブックでは、ふたりの初対談をお届けする。(編集部) 後藤護 菊地:いわゆる黒人音楽史についての本は20世紀にたくさん出ています。特にジャズ批評の多くは、歴史主義で書かれてい

                  後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」
                • 国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読めるフランス現代思想|MasakiUeta

                  人類学篇が人気だったので、たぶん求められているだろう──いや、作成者自身が求めている──フランス現代思想版をつくりました。例により作成者は専門家ではありません。またおそらく漏れているひともたくさんいます(特に1900年以前に生まれたひとは適当)。なにとぞご了承ください。 2024年6月1日 植田将暉 (6月5日更新) アンソロジーJ.デリダ ほか著 ほか『現代フランス哲学12講』,青土社,1986.10. 〔レヴィ゠ストロース、フーコー、バルトとの対話〕レーモン・ベルール 著 ほか『構造主義との対話』,日本ブリタニカ,1980.2. ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編 ほか『作家の仕事部屋』,中央公論社,1979.5. 1900年代以前の生まれガブリエル・タルド(1843–1904)タルド 著 ほか『タルドの社会学原理』,岩波書店,1923. ガブリエル・タルド 著 ほか『模倣の法則』,而

                    国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読めるフランス現代思想|MasakiUeta
                  • 本は積んでおくだけで頭に入ってくるので読まなくておk - 屋上より

                    * 序文・積ん読が頭に入ってくる話(1/4) 早稲田松竹でセルゲイ・パラジャーノフの映画を観た帰り道、身の回りでいちばんシネフィルの友人がこんな冗談を言っていた。「もし上映中に寝ちゃっても、まぶたをとおして光が透過してくるから実質観たのと同じだよ」と。そのとき、一年ほどまえの記憶がフラッシュバックした。 一年まえのわたしは京都の能楽堂にいた。知人の招待で能を観にいったのだ。能は美しいシーンと退屈なシーンが両方あり、うつらうつらしながら観ていた。能楽師である知人はそれ以上で、上演時間の半分を寝て過ごした。そして終わってから後輩が挨拶にくると、「前半はまあまあだったが後半は緩んでたな」と、落ち着きはらって指導をした。居眠りの反省や決まりの悪さは微塵もなかった。横にいたわたしは彼を見ながら思った。マジでかっこいい。彼の態度は、怠慢さではなく、ある種の専門性、プロフェッショナルな感性のあらわれだと

                      本は積んでおくだけで頭に入ってくるので読まなくておk - 屋上より
                    • いまこそ読みたい。アート・ブック10選

                      いまこそ読みたい。アート・ブック10選新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間も多い昨今。そこで、この機会にぜひ読んでおきたい美術書10冊をピックアップ。比較的手に入りやすい2010年以降の本をセレクトしてお届けする。 文=中島水緒(美術批評) 『アート・パワー』(ボリス・グロイス著、現代企画室、2017年) 出典=Amazon.co.jpより 美術批評の最前線を読む1『アート・パワー』ボリス・グロイス著、石田圭子、齋木克裕、三本松倫代、角尾宣信訳(現代企画室、2017) 「アートとは何か」という問いが袋小路に陥り、作品の自律性がもはや信じられなくなった現在、芸術はなお「パワー」を有していると言えるだろうか? 国際的に活躍する美術批評家のボリス・グロイスによれば、あらゆるヒエラルキーを撤廃した「美学的平等性」のもとでこそ芸術の自律性は可能となり、文化的、社会的、政治的な問題に抗することが

                        いまこそ読みたい。アート・ブック10選
                      • 20世紀の倫理-ニーチェ、オルテガ、カミュ - 内田樹の研究室

                        『ペスト』がいきなり売れ出したということで、集英社の伊藤さんからカミュ論の旧稿をウェブに上げたいという提案を頂いたけれど、これがとてもそのままではお目にかけられるようなクオリティではない。その時にHDの筐底から「こんなもの」が出て来た。たぶん1995年くらいに大学のリレー講義の一部で、「20世紀の倫理」というのを3回くらい担当したことがあって、その時に作ったノートである。そのあと大学の紀要に載せたのだけれど、単行本には採録されていないと思う。カミュ論の部分はのちに改稿して『ためらいの倫理学』という論文になって、同名の論集に収録されている。前半の「倫理についての思想史的概説」は学生向けに書いたので、たいへんにわかりやすい。 1・倫理なき時代の倫理 神戸の小学生殺人事件のあと、あるトーク番組で「なぜ人を殺してはいけないんですか?」と発言した中学生がいて、物議をかもしたことがあった。おそらく、彼

                        • 国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読める人類学系の翻訳書(著者篇)|MasakiUeta

                          とりあえずつくった暫定版です。主要な人類学者(岸上伸啓ほか『はじめて学ぶ文化人類学』ミネルヴァ書房、2018年などを参考にしました)の翻訳書のうち、国会図書館デジタルコレクションの(主に)個人送信サービスで読むことができるものを集めています。※ 個人送信サービスの説明や登録方法はこちら。 おもに2024年4月末の追加によって、1995年ごろまでの絶版書目を中心に、多くの文献(とくに各分野で「古典」とされているようなもの)が登録すればオンラインで読めるようになっています。これはすごい! 暇をみて更新するつもりですし、テーマ・地域別のリストも作成したいし、日本人の著者についてもまとめたいと思っている(今回は多すぎたので断念)のですが、そんな余裕はないかもしれません。ぜひ誰かやってください。また作成者は人類学の専門家ではありません。漏れがあったり、主要な人類学者の選定に論争性があったりするのかも

                            国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読める人類学系の翻訳書(著者篇)|MasakiUeta
                          • [書評] 戦後フランス思想(伊藤直): 極東ブログ

                            私は66歳にもなって自分を大人気なく思う。本書『戦後フランス思想』を読んで、ああ、こういう解説は簡素によくまとまっているけど、あの時代の日本の空気が感じられないなあ、と思ってしまった。ということを書くのも、大人げないが、本書はそんな郷愁をもたらした。と、いうのも、あまり正確ではない。後で触れるが、本書は実はとても現代的でもある。 もう少し、大人げない話をしたい。本書を読みながら、十代の自分が今も自分の中にいることに気がつく。アルベール・カミュは私の少年期そのものだったからだ。なんかもう自殺しようかなと思っていた中二の私は、確か、白井浩司の書いた、フランス哲学風人生論で、カミュを知った。曰く、『シーシポスの神話』を読みなさい、というのだった。読んだ。哲学の問題は今、自殺するかしないかだとする、本書にも引かれているが、その基調は、中二の心を掴んだ。不条理(なんですかコレという笑っちゃうね状況)

                            • 上野千鶴子×宮台真司×鈴木涼美 「時代の証言者たち」が集った大反響のトークイベントを電子書籍化|往復書簡 限界から始まる|上野千鶴子/鈴木涼美

                              往復書簡 限界から始まる 2022.02.22 公開 ツイート 上野千鶴子×宮台真司×鈴木涼美 「時代の証言者たち」が集った大反響のトークイベントを電子書籍化 上野千鶴子/鈴木涼美 社会学者の宮台真司さんをゲストにお迎えし、昨年8月に開催された上野千鶴子さん、鈴木涼美さんによる『往復書簡 限界から始まる』の刊行記念イベントが、電子書籍『「制服少女たちのその後」を語る』として発売されました。 テキストは、『小説幻冬12月号』に掲載されたものです。冒頭を抜粋してお届けします。 「宮台さんは、責任を感じてらっしゃるんですか?」(上野) ――『往復書簡 限界から始まる』の中では、涼美さんが女子高生時代のブルセラ体験で、目の前で自慰行為をする男性の、滑稽で情けない姿を浴びるほど見たことによって、男性への絶望に繋がり、今なお逃れられていないといったことを書かれています。上野さんはそれに対して、性が対価

                                上野千鶴子×宮台真司×鈴木涼美 「時代の証言者たち」が集った大反響のトークイベントを電子書籍化|往復書簡 限界から始まる|上野千鶴子/鈴木涼美
                              • ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら

                                2024年2月29日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,036点(セット版を除く)をあげた。 文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。 「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。 人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。 編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら。 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄『王と天皇』 赤坂憲雄『排除の現象学』 赤坂憲雄『遠野/物語考』 赤坂憲雄『象徴天皇という物語』 赤坂憲雄『柳田国男を読む』 天沢退二郎『宮沢賢治の彼方へ』 飛鳥井雅道『明治大帝』 E・アウエルバッハ『ミメーシス[上] ヨーロッパ文学における現実描写』 E・アウエルバッハ『

                                  ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら
                                • 【批評の座標 第10回】溶解意志と造形意志——種村季弘と「水で書かれた物語」(後藤護)|人文書院

                                  『ゴシックカルチャー入門』『黒人音楽史――奇想の宇宙』を著し、「暗黒批評」を掲げる批評家・後藤護が取り上げるのは、ホッケ『迷宮としての世界』やマゾッホ『毛皮を着たヴィーナス』の邦訳で名高いドイツ文学者・評論家の種村季弘。ゴシック、バロック、マニエリスムをキーワードに黒人音楽からサブカルチャーまで縦横無尽に論じる後藤が、種村の原初体験からその仕事を貫く本質を描き出します。 批評の座標 ーー批評の地勢図を引き直す 溶解意志と造形意志——種村季弘と「水で書かれた物語」 後藤護 水に背いた「火性の人」 「戦後焼け跡派」、「戦後闇市派」を自認する種村季弘(1933-2004)は、東京大空襲で生まれ故郷の池袋を焼き尽くされ、その結果「瓦礫」なり「無」なりが原風景、彼の思想のスタート地点になった。種村の初仕事であり、その後の活動全てに一貫するモチーフを提供することになったG・R・ホッケ『迷宮としての世界

                                    【批評の座標 第10回】溶解意志と造形意志——種村季弘と「水で書かれた物語」(後藤護)|人文書院
                                  • 現代アートはわびしいか?|ジャン・ボードリヤール「芸術の陰謀」 - obakeweb

                                    芸術終焉論について調べているついでに、ジャン・ボードリヤール「芸術の陰謀」を読み返した。 「芸術の陰謀」は1996年にパリの日刊紙『リベラシオン』に掲載された短い論考であり、後期ボードリヤールの有名な論考のひとつだ。原書の編集者注記によれば、「世界中で数多くの言語に翻訳され」「当時フランスでは、相当激烈な反応を引き起こした」そう。まぁ、ボードリヤールの書き物はだいたい激烈な反応を引き起こしているのだが。*1 最大限ラフにまとめるなら、「現代アートって、根っからしょーもないのに、『そうそう、ウチらってしょーもないんすよ😉!w』などと開き直り、無知な観客を混乱させ、一周回ってしょうもなくなさそうに見せてるあたり、マジでしょうもない😤」という具合だ。たいへん面白おかしいのは、ここでdisられている同時代(80〜90年代)の現代アートには、ボードリヤールの諸理論に影響されたネオ・ジオやシミュレ

                                      現代アートはわびしいか?|ジャン・ボードリヤール「芸術の陰謀」 - obakeweb
                                    • 売れないロックバンド【はっぴいえんど】なぜ日本の音楽史において重要な存在なのか?

                                      日本のロック、ポップミュージック史においてきわめて重要な存在だったはっぴいえんど はっぴいえんどが、日本のロック、ポップミュージック史においてきわめて重要な存在だったことは間違いない。けれどその活動時期も実質的には3年間あるかどうかだったし、リアルタイムで彼らを評価したのもごく一部の音楽ファンにすぎない。いわば知る人ぞ知るバンドだった。むしろ解散後のメンバーたちの活躍に伴って、はっぴいえんどは “伝説のバンド” として知名度を獲得していった側面もあったと思う。 この度、はっぴいえんどのオリジナルアルバム3作品(『はっぴいえんど』『風街ろまん』『HAPPY END』)が貴重な未発表音源を新たに収録し、CDとアナログ盤でリイシューされることになった。この機会にはっぴいえんどが日本の音楽の歴史に果たした役割を考えるために、彼らが活動した時代を振り返ってみたい。 世界的に見ても独特の音楽ムーブメン

                                        売れないロックバンド【はっぴいえんど】なぜ日本の音楽史において重要な存在なのか?
                                      • ジェイソン・スタンリー『ファシズムはどこからやってくるか』書評(某紙ボツ原稿)|外山恒一

                                        【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】 某新聞から珍しく書評執筆の依頼があり(書評の依頼自体は珍しくはないが、大手商業紙の書評欄というのはたぶん初めてだ)、頑張って書いたはいいんだが、読むに耐えない愚著だったので、当然ながら全否定の酷評になってしまい、担当者から「どうしたものかと昨日1日考えましたが、書評は読者に読んでもらいたい本を紹介するコーナーですので、やはり評者が全否定する本の書評を載せるわけにはいかないと思います」と連絡があり、要するにボツになった。原稿料は最初の提示どおり払ってくれるというし(さすが大手商業紙! 太っ腹!)、ボツにした以上は「著作権は外山さんにありますので、別媒体で発表するのも自由です」とのことだったので(いよっ!)、お言葉に甘えて早速公開する。 くだんの愚著はジェイソン・スタンリー著、棚橋志行・訳の『ファシズムはどこからやってくるか』で、青土社から今年2月に刊

                                          ジェイソン・スタンリー『ファシズムはどこからやってくるか』書評(某紙ボツ原稿)|外山恒一
                                        • 出版状況クロニクル144(2020年4月1日~4月30日) - 出版・読書メモランダム

                                          20年3月の書籍雑誌推定販売金額は1436億円で、前年比5.6%減。 書籍は916億円で、同4.1%減。 雑誌は519億円で、同8.1%減。 その内訳は月刊誌が434億円で、同8.5%減、週刊誌は84億円で、同6.4%減。 返品率は書籍が25.5%、雑誌は40.7%で、月刊誌は40.6%、週刊誌は41.4%。 書店売上は前月と同様に、書籍が2%減となっているけれど、政府による学校の休校や外出自粛要請もあり、学参は30%増、児童書は12%増となった。 雑誌は定期誌9%減、ムック16%減、コミックス19%増で、『キングダム』の新刊発売と『鬼滅の刃』が相変わらず売れ続け、4ヵ月連続の二桁増。 前回の本クロニクルで、3月の書籍雑誌推定販売金額には新型コロナによる影響で、かつてないマイナスに陥るのではないかと予測しておいた。 だが影響はあるにしても、3月は二桁減には至っていない。やはり問題は4月以降

                                          • アイドルはスキャンダルによって内奥性を失い推し活の対象から外れる、失意のファンは失われた内奥性を求めて夜の闇を徘徊する - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                            最近、芸術的なツイートを見た! 俺の人生を取り戻した スキャンダルから色々考えた 14年間楽しかったです#AKB48#STU48#岡田奈々 pic.twitter.com/wL6qbkchAu — けいすけ (@48_keisuke) November 19, 2022 素晴らしい。切り裂かれたアイドルの写真だろうか、コラージュアートのようだ。 これは情熱的なパッションが生じた時にこそ生まれる芸術作品だ。 どうやら、AKB48の岡田奈々が、猪野広樹と付き合っているという文春砲によって露わになったスキャンダルにショックを受けたと思われるファンによるツイートらしい。 bunshun.jpしかも岡田奈々というのは、風紀委員的存在であったと。 anond.hatelabo.jp総監督の向井地が生徒会長ならば、岡田は風紀委員長 というのがファン間での共通認識、いや、ファンだけでなくメンバーも含めたA

                                              アイドルはスキャンダルによって内奥性を失い推し活の対象から外れる、失意のファンは失われた内奥性を求めて夜の闇を徘徊する - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                            • 主婦が宗教にはまりやすい理由に「お金への憎悪」がありそれは経済的モラルハラスメントによる奴隷状態によって引き起こされる - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                              昨日は、専業主婦の人達をディスるような、品性のない記事を書いてしまった。 gyakutorajiro.com結局、社会で働くことのストレスから逃れたいんだろう。 働きたくないがゆえに、専業主婦になっているにも関わらず「主婦も大変」とかよく言うよな!って感じだ。 いや、まあ育児は大変だと思うよ。 「お母さん」は立派だと思う部分はある。 だが専業主婦に憧れる女ってのは、ちょこっと家事やって、10時ぐらいに終わったらテレビ観て、昼は高いランチに行ったりして。 ついでにスイーツとかのお店で美味いもの食べるんだよ。 専業主婦を叩くようなことを書いたが、家庭の事情もあって結果的にそうなった人もいるのにね。 たぶんニートを叩くのに近いかもしれない。 結局はどこかで、自分も資本主義の価値観に毒されている。 「働かざる者食うべからず」「金を稼げ」「ちゃんと納税しろ」という資本主義の支配的イデオロギーの価値観

                                                主婦が宗教にはまりやすい理由に「お金への憎悪」がありそれは経済的モラルハラスメントによる奴隷状態によって引き起こされる - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                              • 反出生主義者は日本スゴイ論というルサンチマンで満足できる愛国者を見習おう - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                                街歩きして船橋の残酷さを味わった話、まあまあ共感してくれたか。 gyakutorajiro.comよかったよかった。 反出生主義と絡めたコメントもあった。 街づくりとは暴力性を含む行為であり「金が無いやつは来るな」という強欲さによってデザインされた街は排除建築にあふれ公共空間は排他的経済地域に変貌する - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸 [社会] 出生とは暴力性を含む行為であり、「金も金を稼ぐ能力もないやつは生まれてくるな」という排他性をそもそも含んでいる。この世は地獄だ。人類は滅んでもよい。 2023/01/30 21:14 b.hatena.ne.jp 心理学者ブレネー・ブラウンがいう「自分はありのままで愛される価値がある、と信じている」自尊心、があれば、反出生思想は想像にも上がらないかもしれない。 沖縄から貧困がなくならない、本当の、本当の理由(樋口耕太郎)|ポリタス 『沖縄県知事選2

                                                  反出生主義者は日本スゴイ論というルサンチマンで満足できる愛国者を見習おう - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                                • 哲学の世界にまん延「有害な男らしさ」 講演で笑いを取ろうとセクハラ発言も|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

                                                  自身の経験を踏まえつつ、哲学の領域に根強い男性中心主義を指摘する横田さん(京都市北区・立命館大衣笠キャンパス) 魂の不死を論じたプラトンや「私」という存在を考察したデカルト、言語を巡る革新的な哲学を展開したウィトゲンシュタイン…。「普遍的な人間の問題」を扱ってきたとされる哲学だが、代表的な哲学者には男性が多い。現代日本の総務省の科学技術研究調査でも、2023年の大学などにおける哲学の女性研究者は2割で人文・社会科学全体の3割を下回る。森羅万象を対象とするはずの哲学に潜むジェンダー格差をどう考えればよいのか。現場の哲学研究者たちに聞いた。 「近年まで哲学の著作は男性によってほぼ独占されてきた。『人間』について探究するから普遍的だという『看板』の下、偏った議論を展開してきた」。「感じない男」などの著作がある早稲田大人間科学部教授の森岡正博さん(65)は、そう指摘する。男性哲学者が支配的だったこ

                                                    哲学の世界にまん延「有害な男らしさ」 講演で笑いを取ろうとセクハラ発言も|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞
                                                  • ジル・ド・レの生涯――百年戦争後期のある中小領主家の興亡 | Call of History ー歴史の呼び声ー

                                                    ジル・ド・レ――フランス王国元帥、ジャンヌ・ダルクの戦友にして数々の軍功を重ねた百年戦争の英雄、フランス王よりも富裕とまでいわれたフランス屈指の大貴族・・・しかして、その栄光の陰で快楽の赴くままに百数十名にも上る子供たちの大量殺戮を行ったとして異端審問裁判により処刑された男。恐怖の民話「青髭」のモデルとも云われる、眩し過ぎる光と深すぎる闇を併せ持った彼の生涯をたどってみよう。 ジル・ド・レについて語られるとき、快楽殺人者、悪魔崇拝、瀆神といった描かれ方が多いが、本記事では少し趣向を変えて百年戦争(1337-1453)の中に彼を位置付けて、中世末期フランスのとある中小領主家の盛衰という視点で見てみようと思う。 レ男爵家はブルターニュ公に臣従してロワール川河口付近一帯に領土を持った有力領主であったが、十四世紀末、賢女(ラ・サージュ)との異名を持つ女当主ジャンヌ・ド・レ” Jeanne de R

                                                      ジル・ド・レの生涯――百年戦争後期のある中小領主家の興亡 | Call of History ー歴史の呼び声ー
                                                    • 南国の人々の逞しさと生きる喜びは、きっと強い太陽の眼差しのおかげだと思ったこと - 失われた世界を探して

                                                      いきなり行けと言われてたった10日間で準備し、アセアンの工場へ飛び立った。そこからは毎日が仕事だ。朝から夜中まで、その生まれたての工場で、僕は現地のニューカマーたち相手に死に物狂いで働き、運用を立て直し、日本の部隊と会議を重ねて必要な技術支援を要請し、また現場へ走って、それは土曜日の深夜まで及んだ。日曜日はホテルの部屋から一歩も出ず、朝から晩までかけて報告書を作成し、また月曜日の朝がやって来る。そんな1か月だ。 南国の人々は控えめで大人しく、一生懸命だった。この日本からやって来た丸い目の日本人の、いかにも日本人がやりそうな緻密な管理、細かいゴール(納期)の設定、整理し順序立てられたプロセスの指導に対し、最初は遠巻きに、少しずつほだされて自分たちなりにチャレンジを始め、褒められて、前のめりに頑張り始めた。 ウン、アジアの人々は、それぞれの国で組織の動かし方とか、大事にしていること、傷つけては

                                                        南国の人々の逞しさと生きる喜びは、きっと強い太陽の眼差しのおかげだと思ったこと - 失われた世界を探して
                                                      • 愛を問い直す術はまだあるか? ベルサーニ+フィリップス『親密性』読書会【闇の自己啓発会】|江永泉

                                                        ■はじめに 闇の自己啓発会は6月6日、ベルサーニ+フィリップス『親密性』読書会を行いました。今回は洋菓子を食べて親密性を高めながら、さまざまな親密性のあり方について話しました。 ※課題本は大手通販サイトでは品薄となっていますが、版元( http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27163.html )から購入してます。 ■参加者一覧 役所【暁】 洋菓子を買った人。最近プレイしているゲームは「アークナイツ」。 【江永】泉 洋菓子ありがとうございました。最近トレイラー等を視聴していたゲームは「Atomic Heart」。 【木澤】佐登志 洋菓子ありがとうございました。最近視聴していたVtuberのゲーム配信は天宮こころの「ぼくなつ」。 【ひで】シス 暁さんが持っていらっしゃったケーキ美味しかったです。マスクをしたまま喋り狂っていたら熱中症になってしまって、今回は自分の発言

                                                          愛を問い直す術はまだあるか? ベルサーニ+フィリップス『親密性』読書会【闇の自己啓発会】|江永泉
                                                        • 2021.2.19 イカの哲学② - カメキチの目

                                                          『イカの哲学』続き(2回目) 著者中沢さんは、波多野さんはイカを見つめているうちに(無意識ながら)自分の カミカゼ特攻隊員としての体験はイカの生存そっくりだと考えていたのでは、 そして波多野さんが『イカの哲学』で述べたのは、薄っぺらなヒューマニズム ではなく生命の深みから問われた平和ではないかと言う。 (グーグル画像より) 波多野さんは死を前にして、死ぬことはお国や家族のためとはいえ、 自分の遺伝子を残せない(つまり子を残せない、生命を続けられない)という 生きものとしての本能的な欲望を絶たなければならないことに気づき、 生と死の狭間で苦悶した。 その苦悶を受け、中沢さんはバタイユというフランスの哲学者の生命論を引いて 生きること自体の前提でもある「平和」というものを、「戦争」との対比で 深く考える。 ---------- 【引用】 「〈バタイユの生命論〉 ・生物には自分を非連続的(独立し

                                                            2021.2.19 イカの哲学② - カメキチの目
                                                          • 詩人の天沢退二郎さん死去 宮沢賢治研究、バタイユ翻訳 | 共同通信

                                                            Published 2023/01/27 21:55 (JST) Updated 2023/01/27 22:30 (JST) フランス文学者で宮沢賢治の研究でも知られる詩人の天沢退二郎(あまざわ・たいじろう)さんが25日午後7時35分、千葉市稲毛区の病院で死去した。86歳。東京都出身。葬儀は近親者で行う。喪主は妻でイラストレーターのマリ林(まりりん)さん。 幼い頃から宮沢賢治の作品に親しみ、「校本宮沢賢治全集」の編著に関わった。宮沢賢治学会の代表理事も務め、少年少女のための小説「オレンジ党」シリーズなども執筆した。 詩集で藤村記念歴程賞、高見順賞などを受賞。ジョルジュ・バタイユやアンリ・ボスコの翻訳も手がけた。

                                                              詩人の天沢退二郎さん死去 宮沢賢治研究、バタイユ翻訳 | 共同通信
                                                            • 人間狩り・奴隷制・国家なき社会[第1回]/酒井隆史×中村隆之×平田周

                                                              酒井隆史 × 中村隆之 × 平田周 第1回 「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」 編集部より 本記事は2021年11月5日、下北沢の書店「本屋B&B」で行われたオンライン・イベント「わたしたちは「人間」であって、人間ではない?」を再構成したものである。 半年以上前に開催された本イベントをここに再録するのは、この5月6日に、この記事内でも大きく取り上げられる思想史家・グレゴワール・シャマユーの『統治不能社会――権威主義的ネオリベラル主義の系譜学 』(信友健志訳、明石書店)という現代政治理論におけるひとつの達成とも言える書物が翻訳・出版されたことを記念する意味も込めている。 再録は全3回に分け、今回は第1回「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」を掲載、以降、第2回「オレリア・ミシェル/奴隷制とレイシズム」、第3回「ピエール・クラストル/国家をも

                                                                人間狩り・奴隷制・国家なき社会[第1回]/酒井隆史×中村隆之×平田周
                                                              • 「模範的社会人」になるための自己啓発読書会 第三回西野亮廣『革命のファンファーレ』|幸村燕

                                                                1.導入*⚠注意⚠この記事は『進撃の巨人』と『えんとつ町のプペル』のネタバレを含みます。 【キュ:キュアロランバルト お:織沢実 ハ:ハイザワ ブ:ブロードウェイ・ブギウギ】 キュ:ではお酒を持っている方は乾杯! 一同:乾杯 キュ:軽く最初に感想いってきますか。僕読んで思っていたより面白くて、少なくとも絵本産業というシステムの中でそれをハックするってものは面白かったし、そのための戦術書としては分析も明瞭だった。僕は最初西野のことをプペルめっちゃこすっている人だと思っていて、クリエイティビティもないクソだと思っていたんですよけど、なぜ西野がそこまでプペルにこだわってこすり続けるのかがわかってよかった。あとは、まず前提とされている世界観が凄く加速主義的ですよね。創作以外のものが技術に置き換えられていくというものが加速主義的な世界観。でも、それってどうなのかとは思った。あと、西野は「お金の奴隷解

                                                                  「模範的社会人」になるための自己啓発読書会 第三回西野亮廣『革命のファンファーレ』|幸村燕
                                                                • クロード・カアン - Wikipedia

                                                                  クロード・カアン(フランス語: Claude Cahun, 1894年10月25日 – 1954年12月8日)は、フランスの芸術家、写真家、作家[1]。彼女の作品は個人的なものでありながら同時に政治的なメッセージも含まれ、旧来の社会的性役割観を突き崩すポテンシャルを持っている。 カアンが書き残したものからは彼女が "agender" であったと窺い知ることができるが、ほとんどの学術書では彼女の作品と彼女自身に就いて議論する際に女性形の代名詞が使われている。それはこの芸術家がジェンダーに対して中立的な代名詞を使用したり又はそれを好んだりしたという文献的証拠がとても少ないためである。1928年にカアンはハヴロック・エリスが書いた第三の性についての理論に関する著作の翻訳を行った[注釈 1][1]。 前半生[編集] 1894年10月25日ナントに生まれる。出生時につけられた名前はリュシー・ルネ・マ

                                                                  • 再魔術化するテクスト──カルトとスピリチュアルの時代の文化批評|文学+WEB版

                                                                    第一回 世界は再魔術化しつつあるのか?  倉数茂 0 宗教の凋落? それとも再魔術化? マックス・ウェーバーが、近代を脱魔術化の過程として捉えたことはよく知られています。宗教改革と啓蒙主義以降、それまで世界を覆っていた宗教的力能は徐々に領域を狭めていき、やがて合理主義的思考に取って代わられる。これがウェーバーら、初期社会学の巨人たちの見通しでした。ではウェーバーの時代から約一〇〇年がたった今、世界の脱魔術化は完成したのでしょうか。 世界112の国で1981年から2020年まで行われた大規模なアンケート「世界価値観調査」のデータに基づいて、ロナルド・イングルハートは、宗教心はますます凋落しつつあると結論づけます(注1)。グローバルに見るのなら、時代が下るにつれ、そして若い世代ほど、一人一人の信仰心は低下し、中絶や同性愛を忌むべきものとは考えず、宗教的規範に囚われず自分の人生を選択している。世

                                                                      再魔術化するテクスト──カルトとスピリチュアルの時代の文化批評|文学+WEB版
                                                                    • 右翼の産物だった競艇 – Pierrot in the twilight

                                                                      上記の各売上高に、toto:1080億円、パチンコ:19兆5400億円を加えた合計は、25兆7800億円。この年の一般会計の歳額は97兆4547億円ですから、国家予算の実に26.5%に相当額の博打に国民が参加している実態は、「ギャンブル大国」という表現が決して大袈裟ではないことを示しています。中でも、競艇は売上1兆2379億円をあげて、公営ギャンブル第2位の地位を占めています。他のすべての公営競技が戦前からの伏線があって公営化したものですが、「競艇」だけは戦後の混乱期に唐突に生まれ、私的な賭博運営を政府から許可された唯一のものです。しかも最も胡散臭い公営競技です。 A級戦犯容疑者が作った「競艇」 「街をきれいに!一日一善!」とのナレーションと同時に日章旗掲揚や競艇レース映像を加えて、「モーターボート競走の収益金は、防犯・防火のために役立てられています」というCMを記憶されておられる方も多い

                                                                      • 【批評の座標 第5回】「外」へと向かい自壊する不可能な運動──絓秀実『小説的強度』を読む(韻踏み夫)|人文書院

                                                                        近年のBLM(ブラック・ライヴズ・マター)からも垣間見えるように、ヒップホップと人種差別への抗議が連動する現代において、その批評や研究から出発し、『日本語ラップ名盤100』(イースト・プレス)を上梓した韻踏み夫。第5回では、現代史の転回点である一九六八年論の代表的な批評家・絓秀実を取り上げ、その主著『小説的強度』から、いま必要な理論的展開を描きだします。 批評の座標 ――批評の地勢図を引き直す 「外」へと向かい自壊する不可能な運動――絓秀実『小説的強度』を読む 韻踏み夫 「しばしば私にはヘーゲルが自明であるかのように思える。だが、この自明は担うには重い」(『有罪者』)。なぜ今日──今日においてもなお──バタイユの最良の読者たちであってさえ、ヘーゲルの自明性をいともたやすく担えるほど軽いものであるかのように考える人々の列に加えられてしまうのだろうか。(……)過小評価され軽々しく扱われたヘーゲ

                                                                          【批評の座標 第5回】「外」へと向かい自壊する不可能な運動──絓秀実『小説的強度』を読む(韻踏み夫)|人文書院
                                                                        • レオ・ベルサーニをめぐって ──クィアが「ダーク」であること──|檜垣立哉

                                                                          2022年2月にこの世を去った思想家レオ・ベルサーニ。「ダーク」なクィア・スタディーズとでも言うべきベルサーニの思想の「過激さ」を、哲学者の檜垣立哉が考察する。 レオ・ベルサーニの「過激さ」 はじめに断っておかなければならないが、私はクィア・スタディーズやジェンダー論の専門家ではない。クィア・スタディーズは、現在、アングロサクソン圏を中心に非常に幅広く、思想的な世界も社会的な運動もまきこみながら、またここでとりあげるレオ・ベルサーニもそうであるように、精神分析の理論などをもちいつつ展開されている。私はそれらの仔細をきちんと追っているわけではない。それなのにこの原稿を書いているのは、もう十年も前のことになるが、洛北出版さんから、『親密性』という、ベルサーニとアダム・フィリップスとの共著を、当時の院生と翻訳したからにほかならない。そして、ほとんど日本でニュースになることはなかったとおもうが、ベ

                                                                            レオ・ベルサーニをめぐって ──クィアが「ダーク」であること──|檜垣立哉
                                                                          • 出版状況クロニクル148(2020年8月1日~8月31日) - 出版・読書メモランダム

                                                                            20年7月の書籍雑誌推定販売金額は929億円で、前年比2.8%減。 書籍は447億円で、同7.0%減。 雑誌は481億円で、同1.4%増。 その内訳は月刊誌が405億円で、同5.7%増、週刊誌は76億円で、同16.5%減。 返品率は書籍が40.2%、雑誌は37.5%で、月刊誌は36.6%、週刊誌は41.9%。 月刊誌の増加は前月と同じくコミックの貢献で、『鬼滅の刃』(集英社)21巻の初版が300万部刊行されたことによっている。 まさに今月だけでなく、今年は『鬼滅の刃』様々であるけれど、いつまで続くのか。そして来年も同じようにヒットするコミックが生まれるかどうか、『SPY×FAMILY』(集英社)がそのヒット作にまで育つだろうか。 1.『日経MJ』(8/5)の「第48回日本の専門店調査」が出された。 そのうちの「書籍・文具売上高ランキング」を示す。 ■ 書籍・文具売上高ランキング 順位会社名

                                                                            • なぜアイドルグループは恋愛禁止なのかについてをジョルジュ・バタイユ「宗教の理論」で紐解く - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                                                              前回、熱愛スキャンダルによって事物の秩序に堕落した神(アイドル)を否定し、破壊する行為によって、ファンが自らの内奥性を取り戻すことができるという話をした。 gyakutorajiro.com内奥性とは、ジョルジュ・バタイユの「宗教の理論」に出てくる言葉であり、端的に言うと、事物の秩序(現実社会)に服従する人間が、その秩序からの解放や忘却のために信仰する「希望」や「生き甲斐」といった観念的対象であり、現実に存在するアイドル等の外的な物理的対象でもある。 (引用元:アガペー [ 真鍋昌平 ]) 信仰していた神、および神を象徴する物質(アイドルのプロマイド、うちわ、その他グッズ等)を破壊するという行為は、宗教や宗教めいたドルヲタ活動ではなく、事物の秩序に戻ることでもある。 恋愛・性欲に溺れ、アイドルが神ではなく事物(人間)に堕ちるという罪は、お相手の男性、すなわち事物(人間)という悪によってもた

                                                                                なぜアイドルグループは恋愛禁止なのかについてをジョルジュ・バタイユ「宗教の理論」で紐解く - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                                                              • 多次元性新生児──古谷利裕の作品がゴミまたは糞であることの可能性|永瀬恭一 | 週末批評

                                                                                文:永瀬恭一 ゴミの居場所 わけのわからないものがある。少し見て、とりあえず異質であることは感じるのだが、それは、異質ではあるけれども美しい、のではない。とにかく異質なのであってその異質さはどこにも結びついていない。 素材はうすっぺらい紙で、切り口はまったく不器用に見え、技術的にとくに洗練されているとも思えない。しかしやけに入り組んでいて、一目では骨格をつかめない。折り紙のように、現実にある鶴や兜を模していたりもしない。言ってみれば抽象なのだけれども、では純粋に形式的な論理の展開だけでできているとも思えない。ここにはなにか、生理的で、感覚をざわつかせる、滑らかでないものがある。 わからない。なんどか見直してみて、繰り返し言うしかない。だけれども、僕はこの「わからなさ」に、たぶん、取り憑かれてしまっている。 わけのわからないもの、異質なものは、どこでどのように居場所を見つけられるのだろうか。

                                                                                  多次元性新生児──古谷利裕の作品がゴミまたは糞であることの可能性|永瀬恭一 | 週末批評
                                                                                • 最近の日本文学とこれからの日本文学

                                                                                  大塚英志が最近の文学というのは「健全化している」という指摘をしているそうだ。佐野波さんのアマゾンのレビューで知った。多分、それは正しいのだろうと思う。 「文学の健全化」という事で真っ先に頭に思い浮かぶのは朝井リョウだ。朝井リョウは、本人もきっと好青年だろうし、リア充だろうし、小説も健全である、と見て良いだろう。こう言うと、持たざる者の嫉妬という事になるだろうが、もう少し深く考えていこう。 そもそも文学は別に病的である必要性というのは、特にないはずである。しかし、別に健全でなくてはならないという事もない。ただ、時代によって傾向性は違うという事は言えると思う。 小林秀雄が、バルザックは時代の流れに沿って書いているが、ヴァレリーはひとりぼっちで、時代を背にして書いている、そういう違いがある、と言っていた。きっとその通りだろうし、文学者が自分の内的世界を守る為に、世界から孤立しなければならない時期

                                                                                    最近の日本文学とこれからの日本文学