アイスや肉まん・あんまんで知られる井村屋グループの中島伸子会長CEO(最高経営責任者)は、列車事故に遭い、九死に一生を得た経験を持つ。社員の活躍や幸せを重視する経営改革を進めている。(聞き手・山内竜介 写真・菅野靖) 中島さんが取引先に披露した手品グッズ <1972年、死者30人を出した北陸トンネル列車火災事故に遭った。その後遺症で教師になる夢を諦めた> 20歳の誕生日を実家で過ごすため、夜行列車で帰省している時でした。3人の小さな男の子を連れた若い母親と一緒に4人がけのボックス席に座っていると、トンネルの中で突然、列車が止まりました。真っ暗な車内でアナウンスも何もない。そうしたら隣の食堂車から炎が迫ってくるのが見えました。 その母親が泣きながら言うのです。「3人の子連れで逃げられない。跡取りの上の子だけでも連れて行ってほしい」。私は5歳の子を抱きかかえ、窓から車外へ飛び降りました。黒煙が