決してラブラブではなかった夫婦関係 現在までのところ、徳川家康と正室の築山殿はとても仲睦まじい。ラブラブだといっても差し支えない。NHK大河ドラマ「どうする家康」での話である(ドラマ内での築山殿の呼び名は瀬名)。 家康は終始、築山殿に気をつかい、その背景に彼女への深い愛情があると感じられるので、視聴していて微笑ましい。2人の関係が崩れずにいてほしい、と願ってしまう。 だが、そんな描き方が史実の2人とかけ離れているとしたら、それはそれで興ざめではないだろうか。大河ドラマはフィクションかもしれないが、一定の史実をもとにしていることはNHKも認めている。実際、脚色こそされていても、おおむね史実を踏まえているというのが、多くの視聴者の認識であり、期待するところではないだろうか。 さて、築山殿だが、彼女についてわかっていることは、さほど多くはない。しかし、限られた史料と、さまざまな歴史的状況から勘案