1964年10月の開業から60年、世界に誇る新幹線の屋台骨は、この日本車両製造豊川製作所(愛知県豊川市)で働く1202人が支えている。累計製造車両数4千両を超える世界一の新幹線メーカーの本拠地だ。 先頭車両を組み立てるのは豊川製作所の「第4工場」。塗装前の新幹線車両「N700S」が、銀色にまぶしく光る。空気抵抗を極限まで少なくした流線形の車体は、機械化が進んだ今も手作業なしに成り立たない。 「ジー、ジジジジッ」。南北364メートル、東西783メートルの豊川製作所にある19棟の工場建屋では、作業員たちが至る所でバーナー片手に台車や車体と格闘する。炎の熱気と機械の動作音が交錯する現場に、列島の大動脈を支える「超特急」の技術が凝縮されている。 85年に入社した田山稔(61)=常務取締役企画本部長=は新入社員のころ、部品を加工する「第1工場」に配属された。車両の素材となるアルミ板やステンレス鋼、鉄