2021年3月11日公開 10年前の東日本大震災では、避難していた河北新報ビルから店舗と自宅が流されていくのを目の当たりにしました。言葉にできない程の無慈悲で暴力的な自然の猛威、建物と建物がぶつかり、ギュウギュウときしむ音を立てて流れ、黒い濁流に次々と飲み込まれていきました。一緒にその場にいた父は、言葉なく立ち尽くしたままでした。夜には火災で故郷が海ごと燃えました。一体どれだけの人が亡くなったのだろう、絶望的な光景でした。それでも、その日、その瞬間、ぼくは、お店の再建と故郷気仙沼の復興を人生賭けて必ず成し遂げると誓いました。命以外もう失うものは何もない。不思議と情熱が湧き上がってきました。 親戚のお宅でお世話になりながら、ゼロからのスタート。手持ちのお金は家族3人で6万円。貯金はわずか。事業の資金は金庫ごと流されていました。まさか自分が現実にそういう状況になるとは、思いもしませんで