目の前で犯罪行為を目撃したのに、報道しない記者たち 2020年5月、週刊文春のスクープによって権力とマスコミの癒着体質が白日の下にさらされた。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出ているなか、マスコミ関係者3人が東京高検検事長の黒川弘務と賭けマージャンをしていたというのだ。 黒川は次期検事総長の最有力候補といわれていた。検察権力のトップに最も近い位置にいたわけだ。一方、マスコミ側は産経新聞の司法担当記者2人と朝日新聞の社員1人。朝日の社員は司法担当記者時代に黒川と取材を通じて知り合いになっていた。 マスコミ業界には逆風が吹いた。記者は目の前で犯罪行為を目撃していたのに、なぜ報道しなかったのか。権力に密着取材しているのではなく権力と癒着し、何も報道できなくなっていたのではないか。 マスコミ業界の独自基準に従えば、3人は間違いなくスター記者だ。検察ナンバー2と定期的に雀卓を囲むほど権力