全国の自治体で、ITやデザイン分野で実績と能力のある民間企業からの人材登用が進んでいる。自治体側のメリットは理解できるが、転職した人たちは、いったい何を得ているのであろうか。 任期付き職員として4年間、神戸市役所で働いた吉永隆之は、今年3月末に退職した。慶應義塾大学を卒業したあと、NTTコムウェアやアクセンチュアというITの世界で勤務。その後、復興庁の職員として福島県浪江町で働いていたときに、神戸市から「ぜひうちに来てほしい」と声が掛かった。 そんな彼が、神戸市役所での仕事で何を得たのか、退職後に何を始めようとしているのか、彼の話を聞いた。 書類と電話で格闘する職員たちを変えたい 神戸市役所で吉永が任せられたのは、スタートアップ起業家の育成だ。いまや神戸市をこの分野で全国区にした「立役者」の1人にもなった。ところが、自らの勤務時間のうち2割は、本来の業務とは関係のない仕事をしていたというの