刑事罰が適用されるのは、都道府県知事による入院措置の拒否や、入院先から逃げ出した場合で、1年以下の懲役か100万円以下の罰金だ。政府は与野党協議で、患者が入院先から無断外出して温泉施設を利用したり、宿泊療養中に出歩いたりした事例を紹介。行動の制約には罰則による強制力という「最終的な手段」(厚生労働省幹部)が不可欠と訴える。 だが、政府の説明には異論も多い。入院勧告に従わなかった患者が感染を広げたという科学的な根拠を示していないからだ。厚労省は刑事罰の対象になるような事例が全国で何件あったかを調査、集計していないことも認めており、人権団体などは「強力な人権制約を正当化する事実は存在しない」と指摘する。