TOPICS 1.はじめに 「備えあれば憂い無し」と言いますが,様々な自然災害に対して何が十分な「備え」 になるのか,予測することは容易ではありません.なかでも巨大津波は,2004 年ス マトラ沖地震を思い出すと明らかなように,地球上で最も恐ろしい自然災害の一つ です.そのような巨大津波に対してどのような「備え」をすればいいのかと言うヒ ントは,実は巨大津波自身が地層の中に残しているのです.日本列島の沿岸平野は 開発が進み,水田が広がっていますが,かつては干潟や湿原でした.その中では少 しずつ植物遺骸や泥がたまり続けていました.地層を掘り出し,その中の堆積物を 詳しく観察し,解析することによって,過去の巨大津波の痕跡を見つけることができ, また,その津波を再現することが可能です. 東北日本の三陸海岸は 1896 年明治三陸津波や 1933 年昭和三陸津波によって大き な津波被害を受けたこ