厚生労働省は3日、公的年金に関する長期的な見通しを示す5年に1度の「財政検証結果」を公表した。一定の経済成長が続けば将来の給付水準低下は現在の6%減にとどまり、成長率がほぼ横ばいなら2割近く下がる結果が出た。いずれのケースも前回の2019年に比べて低下率が縮小する傾向がみられた。高齢者と女性の就労参加が進んだことや、株高による積立金の増加が寄与した。今回の財政検証は人口推計や経済状況などの前
厚生労働省は3日、公的年金の将来の見通しを示す財政検証結果を公表した。経済成長が現状に近い場合でも、33年後の年金受給額は現役世代の手取り収入に対して5割を維持する見通しが示された。ただ、給付水準は現在よりも約2割目減りする。現状より高い経済成長を達成できれば、約1割減で抑えられる。女性の労働参加が進むなどし、前回の2019年検証から水準はやや上がった。制度の支え手となる人口構成は、在留外国人の増加で少子化を補う形とした。 財政検証は5年に1度、年金財政の健全性を確認し、100年先までの見通しを点検するために実施されている。公的年金制度では、保険料の上限を決め、その範囲内で年金を給付する。現役世代の減少や平均余命などを勘案し、年金を減額する措置(マクロ経済スライド)が一定期間導入されている。 政府は、モデル世帯(40年間平均的な収入で会社勤めした夫と専業主婦)で、現役の手取り収入に対する年
参加者 明治大学 政治経済学部 教授 飯田 泰之氏 PwCコンサルティング合同会社 チーフエコノミスト 片岡 剛士 PwCコンサルティング合同会社 シニアエコノミスト 伊藤 篤 世界が期待する日本の再起 伊藤: 飯田先生はマクロ経済学の実証分析が専門で、経済政策の効果予測や事後評価に統計モデルを駆使して携わってこられました。近年は経済のマクロ的状況が地方・地域に与える影響から、地域経済のプレーヤーである中堅・中小企業の実態や人材育成の実情にまで研究の幅を広げています。 日本経済は、賃金や株価の面で30年ぶりとなる改善の動きがみられる一方、賃金から消費への好循環には至っておらず、デフレ脱却は依然として課題となっています。本日はこの点を踏まえて議論を深めたいと思います。まず、激動する国際環境のなかで日本経済が置かれた新たな立ち位置について、現状認識を共有しておきたいと思います。まず飯田先生から
サマーズ元米財務長官は、共和党議員らが財政赤字を拡大し、弱いドルにつながる恐れのある政策を推進していると述べ、米国を「トラス化」へ向かわせていると批判した。英国のトラス元首相は2022年に打ち出した予算案が金融市場で大混乱を招き、就任からわずか44日で辞任表明するという短命政権に終わった。 サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「国防支出であれ減税であれ、共和党は赤字拡大策ばかりを口にする。統制につながるようなものは何も示していない。そして同時に通貨を弱めて国債を売りにくくしている」と述べ、「米国をある種の『トラス化』に向かわせていると言えよう」と語った。 トランプ前大統領はブルームバーグ・ビジネスウィークとの単独インタビューで「現在は大幅なドル高・円安、ドル高・元安となっており、われわれは大きな通貨問題を抱えている」と述べていた。米共和党副大統領候補のバンス上院議員も強
参加者 明治大学 政治経済学部 教授 飯田 泰之氏 PwCコンサルティング合同会社 チーフエコノミスト 片岡 剛士 PwCコンサルティング合同会社 シニアエコノミスト 伊藤 篤 「財政政策とは、政府の負債の規模を決めること」 伊藤: 前回の議論では大幅な需要不足ではないことを踏まえた財政政策が必要ではないか──というところまで話が及びました。一方で世間では日本の財政状況は危機的であると懸念する声も根強くあります。折しも金融政策では変化の兆しが観測されるなか、いま私たちは日本の財政状態をどう考えていけばよいのでしょうか。 飯田: 「財政の危機」という表現は確かにあちこちで使われますが、広く共有された「危機」の定義があるわけではなく、その中身は極めて曖昧です。報道などでは「国の借金」という言葉もよく見かけます。ただしそこで語られる数字にはいくつかの算出根拠があって、「国と地方の公債等残高」は1
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Ex Uno Plures創業者のゾルタン・ポジャール氏のBudabest Eurasia Forumにおける2023年11月のインタビューを見逃していたので紹介したい。 金利と通貨のスペシャリストであるポジャール氏がドルとアメリカの財政について面白いことを語っている。 世界的なドル離れ 基軸通貨ドルの衰退をメインテーマとしたリサーチ企業を創業したポジャール氏が今回語っているのはやはり世界的なドル離れである。 金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業 だがポジャール氏が言う「ドル離れ」とは必ずしもドル下落のことではない。 どういうことか。ポジャール氏はドルの現状について次のように語っている。 元々は資源の売買や貿易にはアメリカのドルが独占的に使われていた。インドと中国、インドとブラジル、中国とブラジルのような、ドルとは一切関係のない2国間の取引でも
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLSE SU Alternative Investment Conferenceのインタビューで現在のインフレと高金利の問題が最終的にどのようなシナリオに繋がってゆくのかを解説している。 インフレと金利上昇 コロナ後にアメリカや日本で行われた現金給付がインフレをもたらして以来、世界中で金利が上がっている。アメリカでは今、大統領選挙でバイデン氏とトランプ氏がインフレの責任を押し付け合っている。 トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ アメリカ国民は物価上昇の不満を政治家に向けているが、多くの機関投資家は金利上昇の方を心配している。 ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性 インフレも金利上昇ももう何十年も起こったことがなかったことであり、それがどういう結果を生むのか理解していない人が多い。 だ
中国経済の低迷が続く中、中国各地で罰金の徴収が増えている。背景にあるのが地方政府の深刻な財政難だ。「罰金の街」として有名になった東北部・遼寧省盤錦市を歩いてみた。 「実は先月も交通違反で罰金200元を払ったばかりだ」 郊外の高速鉄道の駅から乗車したタクシーの男性運転手(42)に罰金の話題を振ると苦笑しながら教えてくれた。客を拾うためUターンした場所が運悪く禁止区域だったという。市内に張り巡らされた監視カメラで撮影された写真とともに違反通知が届いた。「反論しても良いことは何もないからすぐに支払った。ただこの不景気の中で、罰金で一日の稼ぎの大半を持って行かれるのは本当に痛い」とため息をついた。 盤錦市は2021年に29億7672万元(約655億円)もの罰金を徴収して全国的にも有名になった。市の税収の27・9%にも相当する規模で、市民1人あたり年間約5万円の罰金を支払っている計算となる。 渤海の
都道府県単位で見ても、「出生率の高低」と「出生数の増減」には関係性がないにもかかわらず、出生率の高低で騒ぐ日本に、筆者は人口の未来はないと思わざるを得ない。ちなみに、報道などで「出生率」としてよく扱われているのは「合計特殊出生率」のことだ。 図表は、都道府県の2014年から23年(速報値)の10年間の出生数の変化(維持率)と、同じ期間の平均合計特殊出生率を分散図で示したものだ。結論から言うと、平均合計特殊出生率と出生数維持率との相関係数は0.18であり、相関関係はまったくなかった。宮崎や長崎では、10年間の平均で合計特殊出生率が1.6を超えていても、出生数維持率は10年前に比べて75%未満に落ち込んでいる。その一方で、東京、千葉、埼玉では、合計特殊出生率が1.3未満でも、78~80%と全国上位の出生数維持率を保っている。合計特殊出生率の高低で少子化対策の巧拙を語ろうとすることが、いかに無意
年金財政検証結果 公的年金(老齢年金)は多くの方にとって老後生活における収入の柱となるものです。 ・毎月一定の金額が支給される ・死ぬまでもらうことができる この2つが老後生活における収入の柱となる理由です。 そして、公的年金の財源は3つから成り立っています。 ・保険料収入 ・国庫負担金 ・積立金 この3つの財源を公的年金受給者に支出することによって、公的年金制度は成り立っています。 そして、公的年金の財源は定期的に見直され、検証が行われ公表されています。 直近では、2024年7月3日に厚生労働省から将来の公的年金の財政見通しが公表されました。 この将来の公的年金の財政検証の見通しは「年金財政検証」と言われ、厚生年金法と国民年金法の規定によって、少なくとも5年に1度行われることになっています。 ・公的年金の現時点での財政状況 ・将来における公的年金の財政見通し 年金財政検証はこのようなこと
<5年に1度の公的年金「財政検証」の結果を見ると、年金財政は好転に向かっており年金制度が立ち行かなくなる可能性は限りなく低くなった> 政府は2024年7月3日、5年に1度実施する公的年金の財政検証結果を公表した。高齢者の就業が増えて保険料収入が増加したことや、年金減額制度(マクロ経済スライド)が本格的に導入されたことによって、年金財政は好転に向かっている。 現状レベルの経済状態が続いた場合でも、政府が目標としてきた所得代替率50%の維持が可能であることが明らかとなった。分かりやすく言うと、公的年金制度が立ち行かなくなる可能性は限りなく低くなったということであり、国民は制度の破綻について心配する必要はない。 だが、制度が維持できることと、私たち国民が十分な額の年金をもらえることは必ずしも一致しないので、この点については注意が必要である。年金給付額は毎年、少しずつ減額される見通しであり、多くの
年金「財政検証」読み解き(1) 政府は7月3日、公的年金制度の持続性を確認するため5年に1度行う「財政検証」を公表した。給付水準の見通しは5年前より改善しており、将来の平均年金額は若い世代ほど増え、特に女性の伸びが大きいという見通しも示した。少子高齢化で年金制度を取り巻く環境は厳しく、若い世代ほど年金不信は強いが、思い込みによる過度な悲観は禁物だ。 働く女性や高齢者が増えて改善 最初に、現在の公的年金制度の仕組みをおさらいしよう。 公的年金は、現役世代が負担する保険料を高齢者の年金給付に充てる賦課方式だ。少子高齢化が進めば、若い世代が減り高齢者が増えるため、年金財政は厳しくなる。そこで2004年の年金改革で、少子高齢化の進行を見据え、制度を持続させる枠組みを作った。 狙いは、現役世代の負担と高齢者への給付のバランスを調整することにある。 まず、現役世代の負担は、保険料の上限を定め、それ以上
東京都内の公立の小中学校では都の補助を受けて学校給食費を無償化する自治体が増えていますが、財源の一部を負担しなければならないことから財政を圧迫しているなどとして国の支援を求める声も上がっています。 都内の公立小中学校の学校給食費をめぐっては物価高騰などを背景に去年4月以降、23区すべてで無償化された一方、多摩地域では進んでいませんでした。 こうした中、東京都はことし4月から給食費を支援する自治体に対しその半額を補助する事業を始め、都内62のすべての区市町村の、8割を超える51の自治体が無償化を実施したか、今後、無償化することにしています。 このうち多摩市はことし3月、補正予算を急きょ組んで、4月から給食費を無償化しましたが、物価高騰が追い打ちとなって財政負担が重くのしかかっているといいます。 市内2か所の給食センターでおよそ1万人分の給食を旬の食材にこだわって作っていますが、例えば牛乳だけ
www.bloomberg.co.jp 新興国債市場では、3月までの2年の間、高利回りを求めることが最大のリターンを生みました。 しかし、4月以降は、財政赤字の拡大国は高利回りでも売られ、財政に警戒感をもっている・財政改革に取り組む国はマイナス金利であっても、積極的に買われているようです。 つまり、今までの新興国債市場では、少しでも高い利回りを狙う環境から、リスクに応じた利回りを要求する正常な環境に戻ったということです。 先進国は大丈夫? 先進国は新興国に比べ、経済力も信用力も桁違いです。 ですが、日本やアメリカでは、債務を拡大する動きが続いています。(欧州は全体的にコントロールされている印象) IMFは今年6月、アメリカの財政赤字と公的債務に対して警告を発し、民間格付け会社は昨年、米国債の格付けを引き下げました。日本も改善が見られなければ、格下げや警告は時間の問題だと私は考えます。 両国
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『1940年体制―さらば戦時経済』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』『仮想通貨革命』『ブロックチェーン革命』など。近著に『中国が世界を攪乱する』『経験なき経済危機』『書くことについて』『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』『「超」英語独学法』などがある。野口悠紀雄ホームページ ------------最新経済データがすぐわかる!-------
6月30日、パリ市内で演説を行う不屈のフランスを率いるメランション氏。不屈のフランスが中核を担う左派連合は仏下院で勢力を強めている(ロイター)フランスで行われた国民議会(下院)総選挙の影響で、同国が財政不安に陥っている。総選挙の結果、財政拡張を訴える左派連合が勝利し、経済大国フランスの財政健全化が見通せないためだ。下院の連立交渉は今後も続く見通しだが、欧州の金融市場に波乱が起きるリスクが高まっており、欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)は警戒を強めている。 フランスで7日に投開票された下院総選挙の決選投票では、野党の左派連合「新人民戦線」が勝利して第1勢力となった。マクロン大統領率いる与党連合は第2勢力となり、EUに懐疑的な極右政党「国民連合(RN)」は第3勢力にとどまった。 いずれの勢力も過半数の289議席に届かなかったため、マクロン氏は与党連合に有利な形での連立を模索しているが、新
フランスの政治ショックは、同国の財政赤字が数年先でなく、今ここにある問題だという現実を債券投資家に突き付けた。 ユーロ圏中核国という理由で、フランスの財政赤字がもたらす脅威を投資家は忘れ、同国は長らくその恩恵を享受してきた。その平穏が今危険にさらされている。 マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる反移民の極右政党・国民連合(RN)が欧州議会選で圧勝し、与党連合が大敗したことで、マクロン大統領は先月、国民議会(下院)を解散し、総選挙を実施すると発表。政治的安定への疑念が生じ、フランス国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は、欧州ソブリン債危機以降で最大に拡大した。 7日の決選投票の結果、国民議会は絶対多数政党不在のハングパーラメントとなり、新たに発足する内閣が経済改革を推進したり、財政政策で一致点を見いだしたりすることは難しいだろう。税と政府支出では特に妥協が困難と思われる。
小湊鉄道(千葉県市原市)への支援を検討する市原市の「準備調整会議」が16日、開かれた。線路や車両などの維持と補修に必要な設備投資について、「今後10年で約60億円が必要」とする同社の試算に対し、市は独自に試算しているシミュレーションの結果を早ければ次回の会議で示す方針だ。 市は、設備の老朽度など優先順位を決めて試算する。鉄道の運行に対して行政が負担する財政支出と、廃止した場合に追加するバスやタクシーなどの代替費用を比較する「クロスセクター効果分析」の結果も早ければ次回提示する。 市は、小湊鉄道からの支援要請を受け、昨年7月に準備調整会議を設置した。法定協議会への移行に向け、支援のあり方などの論点を整理している。座長は藤井敬宏・日大理工学部交通システム工学科特任教授が務める。(前田基行) ","naka5":"<!-- BFF501 PC記事下(中⑤企画)パーツ=1541 -->","nak
中国財政省の廖岷次官は26日、世界的な気候変動との闘いとインフレ抑制に中国の生産能力が貢献していると述べ、同国産業の過剰生産能力に対するイエレン米財務長官の批判に反論した。 廖次官は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するために訪れているブラジルのリオデジャネイロでブルームバーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、「中国は数十年にわたり、価値のある製品の供給を通じて世界におけるディスインフレの力となってきた」と語った。 同次官は「各国が2030年までに温室効果ガス排出量の削減目標を達成しようとしている今、中国は世界に環境に優しい製品も提供している」と説明。国際エネルギー機関(IEA)の予測を引用し、それまでには新エネルギー車の世界需要は4500万-7500万台に達し、現在の供給能力をはるかに上回る見込みだと付け加えた。 この前日、イエレン長官は「マクロ経済モデルについて中
政府は国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が2025年度に初めて黒字化するとの試算をまとめる。好調な企業業績や物価高などを背景にした税収増により、収支が改善することを見込んだ。 【図解】政府の目標、遠い…部長や課長の女性割合は?(2020年) 29日に開く経済財政諮問会議で示す。黒字額の見通しは、国内総生産(GDP)の0・1%に相当する、8000億円程度と小幅となる見通し。 PBは、社会保障や公共事業などの政策経費をどれだけ税金などでまかなえているかを示す指標。内閣府が1月に公表した試算では、高い経済成長を実現しても25年度のPBは1・1兆円の赤字見込みだった。 政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に3年ぶりにPB黒字化目標の文言を明記し、財政支出を減らせば、目標達成が「視野に入る」としていた。【古川宗】
前回<国民年金のさらなる削減 矛盾と差別>まで、年金制度がもはや目的を果たさなくなり、不公平と矛盾を抱えている現状を論じた。 今回からは、年金制度が人手不足解消や多様な働き方の阻害要因になっていると指摘する。 昭和の制度、改革先送り 日本は、今後50年間で、人口が4000万人減少する見込みだ。減少のうち3000万人が15~64歳の働き手だ。既に人手不足が顕在化しているが、事態はさらに深刻になる。 人口減少を乗り切るためには、可能な限りより多くの人がより長く働く必要がある。しかし、現在の社会保険制度は、それを妨げている。 保険制度は、高度成長期に、男性片働き・常勤雇用・終身雇用など、昭和の制度を前提に発展したものだからだ。しかし、改革は先送りされてきた。 働くことにブレーキをかけている制度はいくつかある。 第一に、第3号被保険者制度だ。…
厚生労働省は3日、5年に一度行われる年金の財政検証の結果を公表し、現役世代の平均的な手取り額と年金額を比べた「所得代替率」が、33年後には現在より2割ほど低くなる見通しが明らかになった。 所得代替率とは、年金世代の受給額が、現役世代の手取り額と比べてどのくらいの割合になるかを示す指標だ。 2024年度の所得代替率を見てみると (夫婦2人の年金22万6000円)÷(現役世代男性の平均手取り収入37万円)×100=61.2% となっている。 厚労省は今回、高成長実現ケース、成長型経済移行・継続ケース、過去30年投影ケース、1人当たりゼロ成長ケースの4パターンで検証している。 今後経済成長と働き手の増加が一定程度しか進まない「過去30年投影ケース」の場合、33年後の2057年度には、夫婦2人の年金は21万1000円と1万5000円減少する一方、現役世代男性の平均手取り収入は41万8000円となり
2023年度の国の税収は、補正予算額を2.5兆円上ぶれる72.1兆円だった。これを受け、2024年度は、予算額を2.9兆円上ぶれる72.6兆円と見込まれ、2025年度は、定額減税の剥落により、前年度予算より8.1兆円多い77.8兆円になると予想される。おそらく、財政再建目標を達成するのみならず、1.6兆円ほどの黒字になるだろう。家計が疲弊して、異次元の少子化を起こしているのに、それで良いのだろうか。 ……… 名目成長なくして財政再建なしというところだろう。他方、物価高で生活が苦しくなり、2024年の合計特殊出生率は1.15人まで下がって、人口推計の低位並みになり、年金の代替率は50%割れの危殆となる。これを取り戻すため、厚労省は、遮二無二、適用拡大を進めるだろうが、低所得層への重課は、ますます、少子化を進めかねない。一将功成りて万骨枯る、国強くして竈に煙立たずとは、まさにこのことだ。 1月
野党、「100年安心」崩壊寸前 政府・与党、持続可能性確保―年金財政 時事通信 政治部2024年07月03日20時32分配信 記者会見する林芳正官房長官=3日、首相官邸 野党各党は3日、政府が公表した公的年金の財政検証結果について、自民、公明両党の政権が掲げてきた年金制度の「100年安心」は「壊れるすれすれだ」(立憲民主党の山井和則元厚生労働政務官)などと指摘し、改革の必要性を訴えた。 年金、33年後に2割目減り 現役収入の5割は維持―低年金対策検討へ・厚労省財政検証 山井氏は取材に「負担増の議論は避けて通れない」と言及。共産党の小池晃書記局長は取材に「(制度の)10年、20年先が見えない。最低保障年金制度の導入など抜本改革が必要だ」と唱えた。 日本維新の会の藤田文武幹事長は記者会見で「持続可能性に疑義がある」と述べ、教育無償化を実現する会の前原誠司代表は「100年安心からの転換が大事だ」
公的年金の「財政検証」の結果をめぐり、立憲民主党の長妻政務調査会長は、検証で使われた出生率や賃金上昇率の値が実態とかけ離れているとして「あまりに楽観的すぎる」と批判しました。 厚生労働省は3日、公的年金の財政状況をチェックし将来の給付水準の見通しを示す5年に1度の「財政検証」の結果を公表し、過去30年間と同程度の経済状況が続いた場合でも、現役世代の平均収入の50%以上を維持できるとしました。 この中で、将来の合計特殊出生率を今より高い1.36、実質賃金上昇率を0.5%と仮定して試算が行われたことについて、立憲民主党の長妻政務調査会長は記者団に対し「あまりに楽観的すぎる。過去30年の経済を投影したと言いながら、賃金上昇率はかなり高く、出生率もはるかに高い」と述べ、批判しました。 一方、基礎年金の給付改善策として、厚生年金財政からの拠出を増やす案が検討されていることについて、長妻氏は「一考に値
5日付で就任した国税庁の奥達雄長官(56)が同庁で記者会見した。「納税者の信頼をいただきながら、国の財政を支える組織として使命を果たしていきたい」と抱負を述べた。 【写真】就任会見する奥達雄・国税庁長官=2024年7月5日午後2時1分、国税庁、花野雄太撮影 自民党の派閥の裏金問題について所感を問われると「個別の事柄についてはコメントを差し控える」としたうえで、「適正に申告納税をおこなっている多くの納税者が不公平感を抱くことのないよう、適切に取り組みたい」と述べた。 昨年導入された消費税のインボイス(適格請求書)制度を課題の一つに挙げ、「円滑に定着するよう、事業者の立場に立って丁寧に対応する」と話した。 奥長官は京都府出身で、1990年に大蔵省(現財務省)に入り、主計局次長、理財局長などを務めた。国税の職場は96年に大阪国税局近江八幡税務署長を務めて以来28年ぶりという。(花野雄太)
5年に一度行われる公的年金のビッグイベント「財政検証」の結果が、2024年7月3日、厚生労働省から公表されました。私たちの老後を左右する年金は、果たして大丈夫なのでしょうか。そこで今回は、そもそも「財政検証」とはいったい何かという話から、検証結果の中身、それらの結果を踏まえてどのような制度改正が想定されるかまで、わかりやすく解説します。 「財政検証」がもっとわかる3つの基本知識 国立社会保障・人口問題研究所が公表している「社会保障費用統計」によると、2021年度の年金給付額の合計は55.8兆円。この55.8兆円は、私たちが納めている保険料、国庫(税金)、年金積立金によってまかなわれていますが、財政検証はまさに、財源(収入)と給付(支出)のバランスが、将来にわたって健全であるかを検証するためのものです。 ●財政検証の基本知識(1):「投影」で年金財政や将来の給付水準を見通す 年金財政には、人
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