絵図・古地図のウェブ公開と差別表現への対応の現状 関西館文献提供課/日本図書館協会図書館の自由委員会:奥野吉宏(おくのよしひろ) はじめに 国立国会図書館(NDL)や国立公文書館に限らず、図書館・博物館・文書館(以下「MLA」)において、資料をデジタル化しウェブ公開することが、規模・館種を問わず広がっている。筆者は、特に京都府立総合資料館(現:京都府立京都学・歴彩館)が同館所蔵の国宝・東寺百合文書をデジタル化し、2014 年 3 月にオープンデータ(クリエイティブ・コモンズ・ライセンスCC BY;E1516参照)としてウェブ公開した(E1561参照)ことが評価(1)され、Library of the Year2014の大賞を受賞(2)したことが、拡大の転機となったと考えている。 この動きは、近代以前に作成された日本の絵図・古地図(以下「絵図」(3))の分野も同様で、NDLのリサーチ・ナビ(