日独楽友協会が新国立劇場中劇場での「ナクソス島のアリアドネ」上演を正式に決定したのは2001年の秋のことである。この作品を上演するのなら会場は是非新国立劇場中劇場でと考えていたのだが、会場との日程調整に手間どってしまい、日程が確定したのは公演のわずか8ヶ月ほど前のことであった。 日独楽友協会は1990年から91年にかけて私が中心となり、恩師のクルト・レーデルを音楽監督に迎えて設立した団体である。当初アマチュア会員がほとんどで、日独合同演奏など国際親善的な活動を行っていたが、その後若手のフリー演奏家が次々と入会して主要メンバーとなり、1996年からプロフェッショナルなメンバーだけの演奏を行うようになる。法人化していない小さな団体であるが、ドイツやオーストリアで学んだ音楽家が多いので演奏にはこだわりがある。家元制度的で派閥や上下関係が厳しい日本の音楽界では、留学中に少々不義理をすると人間関係が