要因Aと要因Bが重なったときに起きる悲劇Cがあるとき、結果に責任を負うのは要因を作った全ての人々とは限らない。Bだけが責任を問われたり、どちらも無罪放免となったりする。 因果関係と責任の所在は、単純にはリンクしていない。 駅前に停められた、鍵を挿しっぱなしの自動車。運転手は道路の向かう側にある自販機でタバコを買っていて、他に乗っている人はいない。通りがかった人が、ふと出来心を起こして自動車泥棒をする。運転手は慌てて駆け寄ったが、後の祭り。さて、「悪い」のは誰? もちろん、泥棒が「悪い」。罰を受けるのは、泥棒だけだ。 では今後、少しでも犯罪を減らすためにはどうしたらいい? ひとつには、鍵を挿したままの無人自動車を見て泥棒を思いつく人を、社会から消し去ること。その手段として、学校教育、社会教育、そして不幸にも既に悪事を行ってしまった人々に対する更生教育がある。 もうひとつは、鍵を挿したまま車を