「会津という神話」は何度か紹介してきた。 書評・最新書評 : 会津という神話 〈二つの戦後〉をめぐる〈死者の政治学〉 [著]田中悟 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011071704693.html 「いまだに長州への怨念(おんねん)を抱いている」 お酒の席でそんな思いを吐露する会津の人と、私はこれまで何度も出会ってきた。幕末の戊辰戦争で長州軍にさんざん痛めつけられた会津は、いまでもその時の恨みを忘れていないというのである。 しかし、本書の著者はそのような感情は戦後になって高揚したもので、戦前・戦中の会津では、長州人と同じ「勤皇精神」の持ち主だという思いが大勢を占めていたという。「長州への怨念」は、戦後に「無垢(むく)な敗者」「近代日本の被害者」というアイデンティティーを獲得する過程で