アブダビの夜 W杯へ激論 2006年11月07日 ミーティングは夜の11時をすぎて始まった。5月31日、合宿先の中東アブダビのホテル。 日本代表は合宿前のキリンカップで連敗していた。この日も紅白戦で主力組は0−1と敗れた。攻めと守りがぎくしゃくする。3日後のバーレーン戦に負ければ、ドイツW杯への道は険しくなる。重い空気の中で、主将の宮本恒靖(みやもとつねやす)(28)が口火を切った。 「みんな、いまの状態をどう思う?」 * 02年日韓W杯後、主将に指名されたのは中田英寿(なかたひでとし)(28)だ。「試合直前にしか合流できないから、難しい」。98年からイタリアでプレーする司令塔は最終予選で辞退し、同い年の宮本を推した。 宮本は自らを「仕切り屋」と評する。大阪の中学校では生徒会長。サッカーでも世界ユース選手権、シドニー五輪と主将で出場してきた。どんなに個性的な相手とも、話すのを苦にしない。