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ブックマーク / kocho-3.hatenablog.com (8)

  • どうして浮世絵はマイナーになってしまったのか?~『印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ』中野 京子氏(2011) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書 350) 中野氏は西洋文化史の研究家、19世紀後半のフランス。時代は産業革命の進展にともない、政治・経済・文化ともに劇的な変動の只中にありました。文化の面で特筆すべきは、「印象派」の出現です。写実性と遠近法でもって神話や歴史を取り扱う従来の古典主義に対し、新たな空間表現と明るい色使いで自由奔放に描く印象派の画法は、その後の絵画のみならず芸術全般に多大な影響を及ぼした。(2011) 印象派と浮世絵 浮世絵の鮮やかで粋な色彩と、遠近法を無視した平坦な描写法、そして意表を突く構図の面白さが驚きをもって受け止められたことがわかります。 西洋絵画は何世紀にもわたって苦心に苦心を重ね、工夫に工夫を凝らして、二次元の画布に三次元を現出させようとしてきましたが、はなからそれを問題にしない浮世絵の軽やかさ、自由さは、古典の縛りから抜け出そ

    どうして浮世絵はマイナーになってしまったのか?~『印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ』中野 京子氏(2011) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ
    shigo45
    shigo45 2016/04/14
    'そもそも浮世絵は、行灯の仄暗い、ゆらめく明かりのもとで広げての鑑賞が想定されており' なるほど。
  • 我々は移動する自由を持っている~『植物はなぜ動かないのか: 弱くて強い植物のはなし』稲垣栄洋(2016) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    植物はなぜ動かないのか: 弱くて強い植物のはなし (ちくまプリマー新書) 稲垣氏は雑草生態学!の研究家、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが、優れた戦略を駆使して自然を謳歌している。植物たちの豊かな生き方に楽しく学ぶ。(2016) 草は環境変化に対応して進化 巨大な大木となる「木」と道ばたの雑草のような小さな「草」では、進化の過では、どちらがより進化をした形だろうか。(77ページ) 白亜紀の終わりごろ、それまで地球上に一つしかなかった大陸はマントル対流によって分裂し、移動を始めた。そして、分裂した大陸どうしが衝突すると、ぶつかった歪みが盛り上がって、山脈を作る。すると山脈にぶつかっ風は雲となり、雨を降らせる。こうして地殻変動が起こることによって、気候も変動し、不安定になっていったのである。・・・(不安定な環境では)いつ大雨が降り、洪水が起こるかわからない。そんな環境ではゆっくりと大木になっ

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    shigo45
    shigo45 2016/04/12
    非常に興味深い。草と木の違いはドラスティックな環境適応の結果。
  • 部屋と机はあなたの拡張された脳である~『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』アンディ・クラーク氏(2003) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works) クラーク氏は認知科学、哲学の研究家、言語の登場以来、人間はサイボーグだった!コンピューターや人工知能、スマートフォンやタブレット端末、脳や身体に直接埋め込まれ接続されるデバイスなど、テクノロジーと人間の融合を探究し、「心とは何か」「人間とは何か」を問いなおす現代人のための哲学。(原書は2003、翻訳は2015) ペンと紙 ペンと紙を用いて大きな数の掛け算(24×72)を行うプロセスを考えてみよう。脳は、ペンや紙と共同作業を行うことによって、単純なパターン完成(2×4、2×2、7×4、7×2など)のための能力を最大限に利用すうることを学習する。つまち中間結果を自分の外部に貯蓄し、より大きな問題が解決されるまで単純なパターン完成を繰り返すのだ。・・・わたしたちが世界を現に理解しているような仕

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    shigo45
    shigo45 2016/03/15
    生きている限り‘脳の可塑性’はあるということか。
  • タロットカードの愚者はなぜ小袋と花を持っているのか?~『「無知」の技法 Not Knowing』S・デスーザ氏×D・レナー氏(2015) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    「無知」の技法 Not Knowing デスーザ氏、レナー氏は企業組織論などのコンサルタント、知識が高いほど、変化や未知のものの受け入れが遅れ、 既知のものへ執着し、盲信する。いわば知のパラドックス(逆説)だ。「知識」「知っていること」に焦点を置くあまり、 疑ったり、「わからない」と認めることができなくなるからだ。(2015) 愚者 タロットカードには「愚者」と呼ばれる1枚が含まれている。たいていの場合、そのカードに描かれているのは、崖の先端で足を踏み出そうとする男の絵だ。小さな袋を持っていて、旅に必要となる能力のすべてがそこに入っている。片手にもった花が象徴するのは美しいものも愛でる心。そして彼の顔は北西を―未知の方法を向いている。 愚者はあらゆる可能性を表している。流動性と柔軟性のイメージだ。愚者は落ち着きがないが、機智に富み、決して一つのところにとどまることはない。性格はあけっぴろげ

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    shigo45
    shigo45 2016/03/14
    「愚者」のカードいいな。ちょっと欲しくなった。
  • 我々は普遍的なものを目指せるし、理解できる~『ユダヤ人と近代美術』 圀府寺司氏(2016) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    ユダヤ人と近代美術 (光文社新書) 圀府寺氏は西洋美術史の研究家。 あなたはいかなる像も造ってはならない(「出エジプト記」:4-5)――。 ユダヤ教では偶像崇拝が厳しく禁じられていた。 しかし、啓蒙主義思想が浸透しはじめた19世紀以降、ユダヤ人の画家や彫刻家は一気に増えていく。(2016) 教養への執着 ユダヤ人の解放を実現したのはその財力ではない。・・・状況を大きく変えたのはやはり啓蒙主義思想であり、・・・(教養の)理想はあらゆる人間に内在する「人間性」を教育と自己啓発によって引き出し、実現することによって達成できると考えられた。・・・「教養」は個人主義的であると同時に、普遍性思考であり、ある種のコスモポリタン(世界市民)的な理想だからである。高貴な血統に代わるべき新しい高潔さの価値観としての「教養」、この個人主義的で、かつ普遍的な理想にユダヤ人の知識人、ユダヤ人中産階級は飛びついた。こ

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    shigo45
    shigo45 2016/02/25
    偶像崇拝禁止と美術の関係とは興味深い。/'宇宙に対する人間的視点を獲得しようとする人'
  • 宇宙はいずれダークエネルギーで一杯になる、その時何が起きるのか?~『輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来』横山順一氏(2015) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来 (ブルーバックス) 横山氏は宇宙構造進化論の研究家、 現代物理学は宇宙を生まれ変わらせることができるか?(2015) 宇宙の輪廻転生説 正の真空のエネルギーがあり、宇宙が再び指数関数的膨張の時代を迎えることによって、初期宇宙のインフレーション時代に量子的に戻ることができるようにし、それによって、一つ一つの宇宙のはじまりと終わりがあっても、そのようなたくさんの宇宙をはぐくむ時空全体には、はじまりも終わりも必要ない、という考え方である。(194ページ) 万有引力の支配する減速膨張、最近の宇宙はダークエネルギー優勢なので加速膨張 宇宙の大きさが現在の    2/3であったあたりを境に、その左側では膨張速度は左上がりになってることが見て取れる。現在に近いところでは膨張速度が増加傾向にある、すなわち加速膨張している。 ダークエネルギーが増えると、 遠

    宇宙はいずれダークエネルギーで一杯になる、その時何が起きるのか?~『輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来』横山順一氏(2015) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ
    shigo45
    shigo45 2016/02/22
    私みたいな人間には宇宙物理学がこの宇宙を超えた「時空」までもその対象としているかのように見える(本当は違うのかも)ことは驚愕と疑問を禁じ得ない。この手の本はどれを選んで読むかが難しいな…。
  • 長期的に合理的で短期的に不合理なこと、それが”英断”~『大人の直観vs子どもの論理』辻本悟史氏(2015) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    大人の直観vs子どもの論理 (岩波科学ライブラリー) 辻氏は発達心理学の研究家、子どもの脳は想像以上に〈論理的〉で、大人の脳は意外なほど〈直観的〉。日常生活で、人生で、そして進化の過程で、それが「うまくやっていく」秘訣であることを、脳の機能と発達の仕組みから解き明かす。(2015) 間違いだらけの私たち ①人間は利益の最大化のために常に合理的なはずだとする伝統的な経済学に対し、②行動経済学や心理学者が人間のさまざまな不合理をあぶり出し、③進化心理学者がその不合理こそが適応的形質だという視点を持ち込んだ、、。(34ページ) なぜ飲んだあと締めのラーメンべるのか?至近要因と究極要因 「おいしいから」「楽しいから」といったシンプルなものや、「小腹が空いたままだど胃によくないと思って」などという苦しい言い訳など、いろいろ出てきそうだ。これらはほぼすべて、その一杯のラーメンと直接結びつく至近の

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    shigo45
    shigo45 2016/02/21
    'その行動や意思決定が不合理かどうかは、その人の立場や視点、対象とする時間スケールなどによる' 興味深い。
  • ヒトは長い寿命を何の為に使うのか?~『人間にとって寿命とはなにか』本川達雄氏(2016) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

    人間にとって寿命とはなにか (角川新書) 川氏は長年にわたりナマコを研究、ヒトは40歳が寿命であり、現代人は膨大なエネルギーにより生かされている「人工生命体」だ。(2016) 私とは何か 私というものは、ふつうに私だと見做しているようなものを核として、その周りにじわーっと時空を通して広がって周りと関係を結んでいるものであり、関係を結んでいる相手も私の一部を構成しているのだから、相手を尊重することが自分自身を尊重することにもなる、そして関係を結ぶ相手とは多様なものだから多様性が大切なのだ、ということでした。(117ページ) 原子論的な個人 社会を構成する基のものが「原子論的な個人」の見方で、これは分子が自由に空間を運動している分子論そっくりです。まわりからの何のしがらみもなく、自分の好きなことを自由に追求しているのが好き好き至上主義の社会であり、こういうものを理想としている私たち現代

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    shigo45
    shigo45 2016/02/18
    本川達雄氏って、自作の歌を歌ったり、ナマコをこすって溶かして見せたり、ユニークな人。この本読んでみたい。
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