東日本大震災の余波が、県内の観光業に深刻な影響を及ぼしつつある。相次ぐ宿泊予約のキャンセルで、廃業に追い込まれた温泉施設も出ており、観光業に携わる関係者からは「全く先が見通せない」と悲痛な声が上がっている。(一條裕二) 「あの惨状を見れば、お客さんに『来てください』なんて言える状態ではないと分かっている。でも、こちらも生活をしていかなければならず、どうすればいいのか……」 2008年の岩手・宮城内陸地震で多くの宿泊施設が被害を受けた湯沢市の小安峡温泉で、「民宿秋仙」を経営する佐々木広之さん(51)は肩を落とす。 今回の地震で、小安峡に来る観光客のメーンだった宮城県が大きな被害を受けた。東北道の一般車両の通行が一時ストップし、ガソリン不足が深刻化したことで、ゴールデンウイークまでの予約はほとんどがキャンセルに。震災後、被災地支援のため同県気仙沼市を訪れたが、あまりの惨状に言葉を失った。 内陸