「隠そう隠そうとしてあまり御前へ出さずに 陛下をお悩ましするなどということはけしからんことだ」 と源氏は言って、 帝へは 「私の所にも古い絵はたくさんございますから 差し上げることにいたしましょう」 と奏して、 源氏は二条の院の古画新画のはいった棚をあけて 夫人といっしょに絵を見分けた。 古い絵に属する物と現代的な物とを分類したのである。 長恨歌、王昭君などを題目にしたのは おもしろいが縁起はよろしくない。 そんなのを今度は省くことに源氏は決めたのである。 旅中に日記代わりに描いた絵巻のはいった箱を出して来て 源氏ははじめて夫人にも見せた。 何の予備知識を備えずに見る者があっても、 少し感情の豊かな者であれば泣かずにはいられないだけの 力を持った絵であった。 まして忘れようもなくその悲しかった時代を 思っている源氏にとって、 夫人にとって今また旧作が どれほどの感動を与えるものであるかは想
![【源氏物語558 第17帖 絵合11】源氏は、絵を差し上げますと奏した。紫の上と絵を見分けた。長恨歌、王昭君などは面白いが 縁起はよろしくないので省くことにした。 - 源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05ff3d536d7f4eead3717f12d24dfb6b43fb7431/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fs%2Fsyounagon%2F20231025%2F20231025134933.png)