いろいろと判例等に接していると、時々、「何でこんな訴訟起こしたの?」的な事件に巡り合うことがあるが、今回取り上げる判決も、まさにその部類に属する事件である。 著作権侵害訴訟の一類型として紹介すべきか、それともただのネタ判決として紹介すべきか、迷うところではあるのだが、以下簡単にご紹介することにしたい。 東京地判平成21年3月30日(第29部・清水節裁判長)*1 ウェブサイト上では、「原告:甲、被告:乙」というシンプルな表示になっているこの事件だが、「甲」は、読売新聞西部本社の法務室長、一方被告は、読売新聞の“押し紙”問題を追及しているフリージャーナリスト、と、何かを感じさせる顔ぶれである。 そして、事案の概要を見ると、 「本件は, 別紙文章目録1 記載の文章を内容とする書面( 以下「本件催告書」という。)を被告にメールで送信した原告が,被告が開設する別紙ウェブサイト目録記載のインターネット