一瞬の間を置いて、Lilyが再び叫んだ。 「何それ! 恐竜でVOCALOIDだとか、わけがわかんないわよ!」 しかし、”VA−GP01”というチューリング暗号(コード)は、まぎれもなくVOCALOIDとなるAIに対して与えられる類のものである。 「ええと、AIは、人間や人型や、その精神構造を模しているとは限らないのです。現に、猫や『いぬへび』を模したVOCALOIDやUTAUも存在しているといいます……」VY1が静かに説いた。「チューリング登録される対象は、霊核(ゴースト)がある程度以上に高度かどうか、であって、旧時代のチューリングテストのような、人間を再現できているかどうか、ではありません。人間のような人格、知覚、概形(サーフィス)は、その表面の姿がとっている場合のある、ごく一例でしかありませんので……」 「MIZKIが言うとものすごい説得力があるね……」GUMIが、輝くICE(電脳防壁