「堕ちるぞ!」のお話 善いことをすれば良いところ(天国、極楽など)に行けて、悪いことをすると酷い苦しみだらけの世界(地獄など)に行くという話は、古今東西の宗教や信仰に普通に見られるもので、それによって「倫理」や「道徳」を教えるのだ、というようなことが時々語られますが、それは誤解です。この話は、ただそれだけで終わるなら、宗教の話でも倫理の話でもありません。 善行の結果天国に行け、悪行のせいで地獄行きという話は、要するに正体が脅迫と利益誘導であって、アイデアの基本は損得の問題、世間の取り引きです。なぜなら、この話は何が善行であり、何が悪行なのか一切示していないのですから。 宗教や倫理の話にしたいなら、まず第一に、人間という存在の仕方をどう認識するのかを問わなければなりません。その認識から、次に、何をなすべきこととし、何をなすべきでないこととするのかを明らかにするわけです。そして同時に、得られた