日本人は満州へ行くべきだ。満州国には東アジアの近代の達成も欠陥も凝縮されている。日本はこの奇妙な国家を作り上げた当事者なのだから、ぜひその余影を見ておくべきだ。それはまだそこここに感じられる。 たとえば長春、かつての新京。市政府を市役所と考えるのは大きな間違いである。カメラを向けてみなさい。門衛に制止される。写真を撮ることすら許されない役所が市民サービスを担う「市役所」であるはずがない。「道台」とか「衙門」と呼ぶのがいい。つまり旧中国であり、中国は一瞬だけ「新中国」になったが、すぐに元の居心地のいい、賄賂横行・上意絶対の「旧中国」にもどったように見える。 昔の関東軍司令部は今は共産党省委員会になっている。市政府の場合は写真を撮ったあとで門衛に撮影不可と言われたので、少なくとも1枚撮れたのだが、ここではカメラを出すとただちに追い払われる。撮られて困る何があるのだろう。今も軍の施設なのかと疑わ