あらゆるSFは読めなかったけどラノベは全部読んだ。過去現在未来におけるすべてのラノベを読み尽くした。だからもう何を読んでも二回目だ。何を見ても同じに見える。その俺様に向かっていまさら探偵科インケスタだの情報科インフォルマだの並べられても乾いた笑いすら出ない。有り体に言えば、俺は誠実に消費していない。俺は老いた。諦念と冷笑に身を鎧って、ロマの吐息に耳を塞いで、さりとて世を捨てるだけの潔癖も無く、未練がましく読みもしない本を買い続けている。男やもめに蛆が湧く、というのはすこしも修辞ではない。男やもめには具体的物理的に蛆が湧く。それと同じくらいに、ツンデレでもなければ反語でもなく、照れ隠しでもなければ修辞でもなく、文字通りの意味で、俺はもはや物語を愛していない。だから、俺の部屋の万年床を返せば畳がカビて腐っているし、部屋の一角には開いてもいない本が層を成している。こんなふうに。 ※以下に挙げる