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ブックマーク / honz.jp (14)

  • ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ

    犯罪者を反省させればさせるほど、累犯者が増える。それどころか、ちょっと悪いことをした人を反省させることを繰り返していけば、その家系からいずれ犯罪者が生まれるかもしれない、と著者は主張する。 うそだろ? とまず思う。しかし書を読み進めれば、多くの人が「体感」として腑に落ちるはずだ。 ポイントは「反省すると犯罪者になる」ではなく、「反省させると……」だということ。そしてその「反省させる」とは、具体的には、子どもの頃から(少なくとも私は)言われ続けた「言い訳するな! 反省しろ!」といった態度のことを指す。こういったシチュエーションでの「反省させる」には、必ずといっていいほど「言い訳するな」と「相手の気持ちになって考えろ」という言葉がセットになっているが、何よりこれがいけない、というのだ。 著者はLB指標の刑務所で更生支援をしている。HONZの読者ならおなじみの言葉かも知れないが、Lはlongの

    ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ
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    synapse_books 2013/06/04
    『反省させると犯罪者になります』
  • HONZの特別な一冊!『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ

    最近の小学生向け恐竜図鑑を読むと、カラフルな羽毛に包まれた、ニワトリやダチョウみたいな恐竜がいっぱい載っていることに驚く。 羽毛恐竜。1990年代に羽毛の痕跡の残っている恐竜(獣脚類)が次々と発見されたことで、鳥と恐竜の距離はぐっと近くなった。一方で、かつて「鳥の先祖」だと言われた始祖鳥と現生鳥類の距離は遠くなる(書の帯には、始祖鳥の骨格標が「オレ、鳥の祖先じゃないんだって…」と悲しがり、その横に「どうしたんだ始祖鳥!」というよくわからないコピーがついている)。 そんなわけで、そろそろ鳥類学者が恐竜について語ってもいいんんじゃない? と誰か(著者自身だけかも知れない)が思って出来上がったのが書だ(たぶん)。 というわけで、著者は高らかに宣言する。 現代社会において、鳥類が恐竜から進化してきたことを疑うことは容易ではない。というか、疑ってもらっては困る。なぜならば、このは鳥類が恐竜か

    HONZの特別な一冊!『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ
  • 壮絶な北海道開拓史 『赤い人』 - HONZ

    年末恒例の「今年のベスト・・・」のセレクションがたけなわである。ちょっと早いが、私が今年復刊されて一番うれしかった『赤い人』を紹介したい。私をノンフィクション好きにしたのは、吉村昭であると言っても過言ではないほど、どの作品も思い出深いが、明治初期の北海道を舞台にしたこの作品は衝撃的だった。 書は、わずか300頁を少し超えたほどの文庫である。昨今の小説では普通。長編ミステリーとしては薄いぐらいの厚さしかない。しかしこの重量感はどうだろう。読み始める前と読み合終わったあとでは、手の中にあるが10倍もの重さを持っているように感じないだろうか。これが吉村昭の作品である。そして醍醐味でもあるといえよう。 『赤い人』は明治維新から10年ほど過ぎた、日が列強諸国に肩を並べたいと強く思いだした時代から話が始まる。当時、北海道開発は明治政府にとって急務のひとつであった。幕末の闘いに敗れた幕府軍の武士

    壮絶な北海道開拓史 『赤い人』 - HONZ
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    synapse_books 2012/11/12
    『赤い人』
  • 『ストラディヴァリウス』 - HONZ

    17世紀から18世紀にかけてイタリアのクレモナでアントニオ・ストラティヴァリウスによって作られた5挺のヴァイオリンと1挺のヴィオラの物語だ。600挺ほど現存している「ストラティヴァリウス」は現在でも最高の価格が付くヴァイオリンである。1994年に日音楽財団が購入した「パガニーニ・カルテット」といわれる2挺のヴァイオリンと1挺のビオラ、1挺のチェロのセットの価格は1500万ドルだった。書の主役の1挺である「ケーフェンヒューラー」という1挺には805万ボンドの値がついていた。円高のいまでも11億円を超える。 このの著者は1965年生まれのイギリス人だ。書が最初の著作だという。しかし前半のストラティヴァリ人の伝記はこのに尽きるといっても良いほどの出来だ。イギリス人特有の歴史と工芸品への顕微鏡的なこだわりがある。物事を総覧的に記述するという能があるといっても良い。羨ましい限りだ。日

    『ストラディヴァリウス』 - HONZ
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    synapse_books 2012/11/06
    『新幹線お掃除の天使たち』
  • 『資本論』 『図解仕事力が身につく 必読の「古典」50冊』 - HONZ

    ○『資論』マルクス 資主義の矛盾点、「労働と賃金」について考え直す ○カール・マルクス 1818 ~ 1883 年。プロイセン領ライン州トリール生まれ。ボン大学、ベルリン大学で法学、哲学、歴史学を学ぶ。科学的社会主義、マルクス主義を構築し、のちの経済や社会、思想に大きな影響を与えることになった。『共産党宣言』『経済学批判』など、著書多数。 ○哲学書でもあるマルクスの集大成 マルクスが生涯をかけて取り組んだ『資論』の第1巻は、1867年に発表された。科学的社会主義の視点を取り入れて、近代資主義を究明したこの経済学書であるとともに、彼の思想を詰め込んだ哲学書でもある。 『資論』は全3巻からなり、第1巻が7編25章、第2巻が3編21章、第3巻が7編52章という大著である。しかし、じつは未完の著作なのだ。マルクス自身が執筆しているのは1巻の「資の生産過程」のみ。2巻と3巻はマルクス

    『資本論』 『図解仕事力が身につく 必読の「古典」50冊』 - HONZ
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    synapse_books 2012/10/29
    「ユダヤ人の歴史」
  • 夢中になって読んでしまった 『精神病者私宅監置の実況』 - HONZ

    座敷牢の調査報告書。 一言でいえばこんなところだろうか。ただし、100年前の話。 著者の呉秀三は、「日精神医学の父」と呼ばれる、明治から昭和のはじめにかけて活躍した医学者だ。精神病患者の看護法を刷新したことで知られる。つまり、書は看護や治療のやり方を一新すべく、当時の精神病患者がおかれた状況を実地調査したレポートなのである。 明治43(1910)年から、東京帝国大学医科大学精神病学教室主任だった呉は、夏休みのたびに教室の助手などを全国に派遣し始める。共著者の樫田五郎を含む15人は、1府14県に散らばり、写真や絵とともに患者の置かれた状況を記述していく。交通の発達していない時代に、徒歩や人力車、馬車で、山奥まで出かけたそうだ。 当時の患者数は14万から15万。一方、当時の精神病院の病床数は私立も含めて約5000。患者に対して、治療施設が圧倒的に足りていないとなると、患者は自分の家にいるし

    夢中になって読んでしまった 『精神病者私宅監置の実況』 - HONZ
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    synapse_books 2012/10/01
    『精神病者私宅監置の実況』
  • 『クリーニング革命』プロフェッショナル 仕事の流儀好きにオススメ - HONZ

    「遅い、高い、でも上手い」と言われるクリーニング屋が東京・麻布十番の二の橋付近にある。入り口はホテルのようであり、普通のクリーニング屋らしからぬ店構えだ。お店の名前は『レジュイール』、書の著者である古田武 氏が創業したお店であり、別名「服のお医者さん」である。 『レジュイール』でのクリーニングの手の凝り様は半端ない。まずこのお店で預かった服は、点数・素材・ブランド名・シミの有無等がチェックされ(しかも間違いがないよう3重チェック!)、ドライクリーニングか水洗いかに分類され洗い場に移される。ドライクリーニングの場合はもちろん臭いのないフッ素系溶剤を使用する。水洗いの場合はすべて手で押し洗いだ。すすぎは、洗う温度で5分、その後水で30分かけて行う。ここまで手間ひまかけないと白いものを白く仕上げることはできないそうだ。「洗濯機でガラガラ回すだけでは汚れをしっかり落とすことはできない」と言い切っ

    『クリーニング革命』プロフェッショナル 仕事の流儀好きにオススメ - HONZ
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    synapse_books 2012/04/06
    『クリーニング革命』
  • 『ガリ版ものがたり』 新刊ちょい読み - HONZ

    僕は、どちらかというと「いやぁ~ 俺たちの頃はガリ版でさぁ」などと聞かされて育った「ポスト・ガリ版世代」である。それでも伝え聞く話の口ぶりなどから、ガリ版というものがその世代の人にとって懐かしい思い出を持つ、愛すべき存在であったのだろうということは容易に想像がつく。書は、そんなガリ版文化を紡いだ謄写版と人々の物語である。 日におけるガリ版の基礎を作ったのは、エジソンのミネオグラフをヒントに謄写版を開発した堀井新治郎なる人物である。その仕組みはロウ原紙を筆耕者が鉄筆を使い文字を掘ることで、製版を行うというもの。ちなみに、宮沢 賢治も筆耕者を生業にしていた時期があるそうだ。 ガリ版の特徴は何と言っても、小回りが利くということだ。「方術極めて簡単で婦女子といえども容易に印刷でき、一枚の原紙で500枚は印刷できる。」などと謳われ、演劇、放送、映画での台といえば、長らくガリ版印刷の独壇場であっ

    『ガリ版ものがたり』 新刊ちょい読み - HONZ
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    synapse_books 2012/03/13
    『ガリ版ものがたり』
  • 『原発アウトロー青春白書』新刊ちょい読み - HONZ

    タイトルが何ともすごい。「原発」と「アウトロー」と「青春白書」をつなげてしまったのである。ピーコのファッションチェックなら「あなた、ちょっと」と激怒されそうな組み合わせだが、内容は良い意味で期待を裏切らた。 書は福島県の原発がある街で育ち、震災前から原発で働く3人の若者に焦点を当てている。当事者中の当事者である彼らが原発が日常にある街でどのように育ち、なぜ原発で働くようなり、震災時に何を見て、そして今、何を考えているのかが綴られている。内容は3人の若者の語りを中心に時系列で構成されている。原発関連は多いが、震災前から原発に従事していた現役作業員の声がこれほど前面に出ているは少ないのではないだろうか。 被災者であり原発で働く彼らを賛美する内容かと思う方もいるかもしれないが、著者は彼らを英雄視する気もないし、哀れむ気もない。一定の距離を持って乾いた視線を投げかけることで、彼らの思いをうま

    『原発アウトロー青春白書』新刊ちょい読み - HONZ
  • 『戦国の食術』 生き残りをかけた粗食 - HONZ

    戦国武将は戦死や自刃などでの早死を除くと、意外にも長生きだったらしい。北条早雲88歳、島津義弘85歳、大久保彦左衛門80歳、徳川家康75歳、伊達正宗70歳など、『戦国の術』には70歳以上で亡くなった60人あまりの武将がリストされている。 人工呼吸や輸液などの延命技術などなかった時代だから、長患いすることもなく、亡くなる直前まで元気であったことだろう。家康などは18人の側室をもち、16人の子をなしている。末子の市姫は家康66歳のときの子である。 著者はその理由について、米を一晩水に漬けておいたこと、旬の野菜を使った汁物、いわしや海藻などのカルシウムの多いものの摂取、茶の湯などにあるとする。 ところで、書の副題は「勝つためのの極意」だ。長命はむしろオマケで「ほうとう」の武田信玄、「仙台味噌」の伊達正宗など万人が知っているエピソードから、武士めしの最終兵器である「兵糧丸」の作り方まで網羅

    『戦国の食術』 生き残りをかけた粗食 - HONZ
  • あれから1年。『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』 - HONZ

    あれから1年が経った。3.11、あの日あなたはどこにいましたか?多分、この問いは何度も聞かれただろうし、尋ねもした。私は確定申告の帰り道、道路を歩いているときに激しい揺れに座り込んだ。電柱が撓み、電線が大縄跳びのようにぐるりぐるりと回っていた。 彩瀬まる『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』は、25歳の新人女性作家が一人旅の途中であの震災に遭遇してしまった体験記である。福島のJR常磐線新地駅で停車中、地震は来た。動かない電車に見切りをつけ、二駅ほど先の相馬に住んでいると言う、偶然となりに座った女性と電車を降りて歩き出す。 新地駅は海から500メートルほど。コンビニで買い物をして外に出ると、町役場から津波警報の放送が流れた。振り向くと遠くで地面がうごめいている。彼女たちは高台へ必死に駆け上る。町が、走ってきた道が水に呑まれる。死ねない、死ねない、彼女は思う。 避難所で一晩を過ごし

    あれから1年。『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』 - HONZ
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    synapse_books 2012/02/27
    『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』「「つなみ」の子どもたち」「できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと」「日本鉄道旅行地図帳 東日本大震災の記録」
  • ファクトからはじめよう 『放射線医が語る被ばくと発がんの真実 』 - HONZ

    このに書かれているのはファクトである。人間の主観を逃れた完全に客観的なファクトなど存在しないが、著者は可能な限り、様々な利害から離れて中立的、客観的であろうとしている。客観的といっても「東大話法」のように自分を神の視座に置いて他者批判に終始するのではなく、自らの手で広く認められているファクトから“真実”を紡ぎだそうとしている。広島、長崎、そしてチェルノブイリで収集されたデータを基に、被ばくと発がんの関係をできるだけ多くの人が理解できる形で分かり易く解説しようとしている。 どのような現象が統計的に有意な量で観測されており、どのような合意が科学者間で得られているのか、そして、何が分かっていないのかを知ることで、より良い意思決定が導かれるはずだ。読んでいてワクワクドキドキできる楽しいではない。それでも、印象や肩書、話し手の涙などではなく、「科学」に信を置く、できるだけ多くの人に読んでもらいた

    ファクトからはじめよう 『放射線医が語る被ばくと発がんの真実 』 - HONZ
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    synapse_books 2012/01/17
    「『放射線医が語る被ばくと発がんの真実 』」
  • 『さいごの色街 飛田』 - HONZ

    HONZに参加して以来、自分がどのようなを取り上げてきたのか、棚卸しなんぞしてみた。最初のダムはともかく、銀座のインド料理屋、川崎を拠地としていたプロ野球球団、東京スカイツリーと東京タワー、自由が丘のスイーツ。いかん、いかん、エリアが東京近郊に寄り過ぎている。オレは東京ウォーカーか!HONZは全国区の媒体だぞ。 そんなわけで思い切って東京を離れ、遠征へと出かけることにした。遠征に出かけるとなると、ついつい羽目を外したくなるのが、男の性(さが)。そうこうしているうちに辿りついたのが、飛田新地である。と、誰に問い詰められたわけでもないのに弁解してみる。 飛田新地は、大阪市西成区に今なお存在する色街だ。面積は、概ね400メートル四方。北寄りが「青春通り」 「かわい子ちゃん通り」、南寄りが「年増通り」「妖怪通り」「年金通り」などと呼ばれている。碁盤の目の街路に沿って居並ぶ「料亭」の合計は、16

    『さいごの色街 飛田』 - HONZ
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    synapse_books 2011/11/01
    『さいごの色街 飛田』「盆踊り 乱交の民俗学」「釜ヶ崎のススメ」
  • 『呪の思想』 - HONZ

    ビデオアーティスト、ナム・ジュン・パイクは松岡正剛氏に対し、日人は白川静を読まなくてはダメよと語ったという。恥ずかしながら、私もその一人だった。 故白川氏の実績を知れば知る程、自分の無知を痛感した。氏の漢字に対する知恵と洞察はどこまでも深く、現在では白川静なしで漢字文化を語ることなど考えられない。恐れ多くも少しでも彼の領域に近づければと思い、書を紹介させていただく。 文字は人が神と心を交わし、神の力を得る手段であったという。古代は悪霊だらけの世界だった。その中で文字は神との交流手段である「呪」としての機能をもって生まれた。漢字は一個の宇宙であり、それ自体が霊魂としての模型だという。こんな説明は学校教育では教えてもらえなかった。 この壮大な話は、年月を経る毎にファンタジーではなくリアルとなった。氏は中国の古代文献から調べ直し、漢字の意味来のありようを追求していた。もう一人の著者である梅

    『呪の思想』 - HONZ
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    synapse_books 2011/09/07
    『呪の思想』
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