京都在住の批評家が日々の見聞や邂逅についてアト・ランダムに書き綴るメモランダム。ドタバタ紀行の跡を辿ると時代の動きが見えてくる……。(随時掲載) 連休明けに行ったら休みだったので(当たり前か)、5月16日に渋谷の松濤美術館を再訪、中西夏之の『絵画の鎖・光の森』展を見る。ネオダダ時代に洗濯ばさみをびっしりつけた作品をつくっていた、その洗濯ばさみが藤の花びらめいたタッチに変わって日本画のように装飾的になったら美術館が喜んで受け容れるようになった——かつて冗談半分でそんなことを書いてアーティストを激怒させたことがあるのだが、日本美術に重点を置く松濤美術館で開かれた今回の展覧会は、そんな中西夏之の絵画がきわめて洗練された段階に到達したことを示すと同時に、それがネオダダ時代となんら変わらない実験精神——たとえば図と地の反転を徹底するといった——に貫かれていることを示す。かつての妄言を撤回し、アーティ