警察が捜査中の暴力団関係者をアパートから逃がしたとして5月、女性の大家(77)が逮捕された。 女性大家は埼玉県内に約30棟のアパートを所有。行く当てのない人たちばかりを住まわせることから、いくつかの物件は、地元で「ヤクザアパート」と呼ばれていた。 なぜ誰彼問わず入居させたのだろうか。保釈された女性大家を記者が訪ねると、思いもよらない誘いが待っていた。 「長い話になるから冷たいコーヒー飲みにいかん?」 罪に問われた一本の電話 記者の訪問に先立つ8月9日、東京地裁706号法廷。犯人隠避罪に問われた女性大家の初公判が開かれた。 反社会的勢力と親交がある被告――。こわもてな先入観を抱いたが、被告人席に座っていたのは小柄でグレーの髪色が似合う目元のきれいな女性だった。背筋はピンと伸び、喜寿を迎えているようには見えない。 起訴状や警察の発表によると事件の概要はこうだ。 2月17日午後6時ごろ、女性大家