写真3/ 雲南省の薬用昆虫「臭売虫(オサムシモドキの一種)」 (昆明市内花鳥市場、1996年11月、白く見えるのは餌に与えた飯粒) 「九龍虫」という虫があります。正しくはキュウリュウゴミムシダマシという体長6ミリほどの小さい甲虫で一世を風靡した薬用昆虫です(写真1)。 この虫を生きたまま服用すると活力が全身にみなぎり、時には鼻血まででるという精力剤で、 昭和初期と戦前および戦後1950~60年代に3回の大流行がありました。当時、 かの鉄人アベベがこれを飲んでマラソンの覇者になったとか、某プロ野球選手がこれで首位打者になったとかのうわさが流れ、 この虫を酒に浮かべてサービスする小料理屋まで現れました(写真2)。 虫を飲み込むと苦しがって出す吐液が効くそうで、九龍虫は虫としては異例の知名度を誇っていました。 九龍虫は中国起源の虫で、その名のいわれには、香港の九龍半島由来説と、高貴万能を意味する