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ブックマーク / bsd.neuroinf.jp (12)

  • 周波数地図 - 脳科学辞典

    ある周波数の純音において、音圧を徐々に上昇させた時、細胞活動が初めて変化を示す音圧のことを閾値音圧と呼ぶ。周波数に従って閾値音圧が変化する様子を示す曲線は、その細胞の周波数同調曲線と呼ばれる(図1)。蝸牛神経から大脳皮質まで、多くの細胞の周波数同調曲線は左右非対称なV字型で、低い周波数側に伸びている。周波数同調曲線の最も低い部位が対応する周波数、即ち閾値音圧が最も低い周波数は、その細胞の特徴周波数と呼ばれる(図1)。周波数地図は神経細胞がその特徴周波数の高低順に空間的に規則正しく配置されていることを意味する。 聴覚路で見られる部位 聴覚路において、周波数地図が内耳から大脳皮質聴覚野まで、すべてのレベルで見られる。内耳における蝸牛底から蝸牛頂までの周波数地図は一次元的で、cochleotopyとも呼ばれる。部位と特徴周波数の関係はGreenwoodの式で定量的に記述できる[1]。一方、大脳皮

  • ソース・モニタリング - 脳科学辞典

    佐藤 弘美、四 裕子 東京大学 総合文化研究科 DOI:10.14931/bsd.2411 原稿受付日:2012年10月18日 原稿完成日:2012年11月7日 担当編集委員:入來 篤史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター) ソース・モニタリングとは、ある特定の記憶について、その記憶がいつどこでどのように得られたかという情報源についての記憶・認識である[1]。記憶の情報源は間違って判断されることも多く、そのことをソース・モニタリング・エラーと呼ぶ。このエラーは、情報源の符号化の限界または情報源を特定する際の何らかの妨害によって、正常な知覚処理過程または参照過程が妨げられるために生じる。うつ状態やストレスレベルの高い状態、または関連する脳の領野の損傷などがソース・モニタリング・エラーの原因と考えられている。 概要 ソース・モニタリングの基的な考え方は、人は記憶についての情報

  • サリエンシー - 脳科学辞典

    吉田 正俊 自然科学研究機構生理学研究所 発達生理学研究系・認知行動発達研究部門 DOI:10.14931/bsd.3007 原稿受付日:2012年12月21日 原稿完成日:2017年2月7日 担当編集委員:田中 啓治(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター) 感覚刺激が刺激の時間的または空間的配置によってボトムアップ性注意を誘引する特性を「サリエンシー」と呼ぶ。「サリエンシー・マップ」とは、視覚刺激のサリエンシーを計算して単一の二次元マップとして表現したもののことを指す。これは計算論的概念であって、脳にサリエンシー・マップが表現されている保証はない。しかしながら、サリエンシー・マップが表象されている部分としてこれまでに、一次視覚野(primary visual cortex: V1)、上丘、視床枕、Lateral intraparietal area (LIP)、frontal

  • ニューロブラスト - 脳科学辞典

    小曽戸 陽一 Korea Brain Research Institute(韓国)Mechanoneuroscience Lab DOI:10.14931/bsd.3749 原稿受付日:2016年3月21日 原稿完成日:2016年6月12日 担当編集委員:村上 富士夫(大阪大学 大学院生命機能研究科) 「ニューロブラスト」は直訳すると「神経芽細胞」であるが、その意味する細胞種は、生物種および対象組織の違いにより、分化状態や細胞分裂の有無などの主要な性質がそれぞれ全く異なるものである。現段階では、ニューロブラストを統一的に定義することは困難であるが、稿では最初に教科書的な用例を示した上で、特に研究が進んでいる「ショウジョウバエ」、「哺乳類(胎生期および成体脳)」、更に近年研究が進みつつある「哺乳類以外の脊椎動物」に分類し、各生物種・組織における「ニューロブラスト」にあたる細胞種を概説する。

    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2023/12/27
    神経芽細胞?
  • 神経栄養因子 - 脳科学辞典

    種類 神経栄養因子は、主に、神経成長因子(nerve growth factor/NGF/neurotrophin-1) [1]、脳由来神経栄養因子 (brain-derived neurotrophic factor /BDNF /neurotrophin-2) [2]、neurotrophin-3 (NT-3) [3]、neurotrophin-4/5 (NT-4/5) [4][5]の4種類のファミリー蛋白質が存在することがわかっている(図1)。 構造 神経栄養因子はシグナル配列を含むプレプロ神経栄養因子(prepro-neurotrophin)として最初に合成される。次に、シグナル配列が切断された後、プロ神経栄養因子(pro-neurotrophin)となる[6]。その後、プロ神経栄養因子は、プロテアーゼによって切断されたのち、成熟型の神経栄養因子(mature neurotroph

  • 前頭前野 - 脳科学辞典

    渡邊 正孝 (公益財団法人)東京都医学総合研究所 生理心理学研究部門 DOI:10.14931/bsd.1657 原稿受付日:2012年7月5日 原稿完成日:2013年2月3日 担当編集委員:入來 篤史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター) 前頭前野はヒトをヒトたらしめ,思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的にヒトで最もよく発達した脳部位であるとともに,個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 ヒトの大脳で感覚野、運動野には属

  • 夢 - 脳科学辞典

    寒 重之 大阪大学大学院医学系研究科 疼痛医学寄附講座 宮内 哲* 国立研究開発法人情報通信研究機構 DOI:10.14931/bsd.3606 原稿受付日:2016年2月29日 原稿完成日:2016年3月8日 担当編集委員:定藤 規弘(自然科学研究機構生理学研究所 大脳皮質機能研究系) *corresponding author 夢とは、ヒトが睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験である。1950年代にレム睡眠が発見され、それに続きレム睡眠と夢との間の高い関連性が報告されて以降、これまでにさまざまな手法を用いて夢に関する研究がおこなわれ、最近は脳機能イメージングを用いた研究も進んでいる。しかし、夢がどのように生み出されるのか、また夢に生物学的な意義が存在するかなど、現在においても数多くの疑問が残されている。 定義 夢とは、ヒトが睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験であり、現時点でもっとも妥

    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2023/10/14
    「走査仮説」
  • 色の恒常性 - 脳科学辞典

    色の恒常性とは、照明光の条件が変わってもその照明光の色に引きずられることなく、同じ物体は安定して同じ色として知覚される現象のことである。例えば、赤いリンゴは青い照明の下で見ても赤く感じられる。この色の恒常性は、知覚の恒常性の一種であり、他には大きさの恒常性、形の恒常性、明るさの恒常性などがある。 メカニズム 色の恒常性は古くから知られているが、初めてこの問題を物理的な視点からとらえたのはvon Helmholtzであると言われている。 照明光など物体に届く光は物体固有の分光反射率で反射され、その反射光が私たちの網膜に届く。つまり、網膜に届く光のスペクトル(波長成分)は、照明光のスペクトルの変化に伴って変化している。しかし、私たち人間は照明条件の変化に影響されずに、同じ物体を同じ色として知覚することができる。 このような色の恒常性は、人間のみならずサルなどの動物[1]や昆虫[2]にも存在する

  • シナプス刈り込み - 脳科学辞典

    上阪 直史、狩野 方伸 東京大学大学院医学系研究科医学部 DOI:10.14931/bsd.6690 原稿受付日:2016年1月14日 原稿完成日:2016年6月4日 担当編集委員:大隅 典子(東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野) 英語名: synapse elimination, synapse pruning 独:Synapse Beseitigung 仏:élimination de la synapse シナプス刈り込みとは、必要なシナプス結合だけが強められ、不要なシナプス結合は除去される現象である。発生、発達期の動物の脳内ではある段階になると神経結合(シナプス)が形成され始める。生後間もない時期の動物の脳では、過剰にシナプスが形成され、その密度は成熟動物でみられるよりもずっと高い。生後の発達過程において、このう

  • 場所細胞 - 脳科学辞典

    図1. ラット海馬CA1野の場所細胞の場所受容野マップ ラットは、視覚弁別課題と交代反応課題を八の字迷路上で遂行している。同時記録された28個の場所細胞の発火頻度は、右下にあるカラーバー(最大値(赤)、無発火(青))に示されるグラデーションで表現している。ラットが訪れていない場所は黒で表現している。(データ:高橋晋) 歴史 O'keefeとDostrovskyは、電気生理学的手法を活用してニューロンの細胞外電位を観察することにより、自由に行動しているラットの海馬から場所細胞を発見し1971年に最初の報告をした[1]。技術的には、field effect transistor(FET)を構成要素とするソースフォロワ回路をヘッドアンプとすることでノイズを低減し、それとワイヤ電極を組み合わせるという当時の最先端技術を活用することで、その発見は実現された。同時期にRanckらも同様の技術を使った実

  • 前向性健忘 - 脳科学辞典

    玉岡 晃 筑波大学大学院 人間総合科学研究科(臨床医学系) 疾患制御医学専攻 神経病態医学分野 神経内科 DOI:10.14931/bsd.3974 原稿受付日:2013年7月2日 原稿完成日:2013年7月4日 担当編集委員:高橋 良輔(京都大学 大学院医学研究科) 記憶に関する神経機構の障害が発現した時点が明らかな場合、障害時点以降の情報の記憶障害を前向性健忘という。一方、障害以前の情報の記憶障害を逆行性健忘と呼ぶ。前向性健忘は近時記憶の記銘力障害であり、逆行性健忘は、遠隔記憶の想起障害であるが、障害時に近い出来事ほど忘却されやすく、遠いものほど保たれるという時間的勾配が認められる。健忘症候群では通常、前向性健忘と逆行性健忘の両者がみられる。 記憶の心理過程は、記銘、保持、想起に分けられるが、記銘から想起までの時間によって、神経学領域では、1分程度以内までの記憶を即時記憶 (immed

  • 空間的注意 - 脳科学辞典

    図1. Posner課題 被験者は、スクリーン中央を固視しながら、ターゲット(右列の赤丸)の呈示後すぐにボタンを押すように指示される(単純反応時間課題)。ターゲットに先立って、その位置を知らせる手がかりが固視点の周りに呈示される。80%の試行では矢印が示す方向にターゲットが現れ(一致条件)、20%の試行では反対側に提示される(不一致条件)。両矢印の場合は、50%の確率で右または左にターゲットが提示される(対照条件)。 注意をある位置や色などに向けると、その属性をもつ対象の検出や弁別が素早く、正確になる。19世紀、Helmholtzは電気スパークによる一瞬の光で、暗い部屋の壁に掲げた文字列の一部を読ませる実験を行い、前もって注意を向けていた位置に書かれた文字は読めるが、他の文字はまったく判読できないことを示した[1]。こうした注意の効果を定量化する方法として、現在もっとも有名で広く利用されて

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