中東の民主化運動「アラブの春」で昨年2月にムバラク独裁政権が崩壊したエジプトが、国内総生産(GDP)の1割超を占める観光収入の激減に苦しんでいる。不安定な治安を外国人客が敬遠したためだ。初めての民主的国政選挙ではイスラム主義政党が躍進し、観光客の飲酒規制を主張して新たな懸念材料が浮上した。一方で、騒乱の少ない君主制アラブ諸国への観光客は増加しており、民主化が経済を圧迫する皮肉な現象が起きている。【カイロ和田浩明】 ◇収入激減「革命ない方がよかった」 エジプト最大の観光資源の一つ、ギザの大ピラミッド。先日訪れると、外国人と見た客引きが次々と群がって来た。「馬車でピラミッドを巡らないか」「格安の入場券があるよ」。その口調はみんな真剣そのものだ。 入場口には100人ほどが並んでいたが、エジプト人が目立つ。革命前は多数見かけた外国人観光客用の大型バスもほとんどない。 「商売はあがったりだ」。ラクダ