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ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (36)

  • エコロジーという自民族中心主義 : 池田信夫 blog

    2010年03月10日00:03 カテゴリ科学/文化 エコロジーという自民族中心主義 和歌山県のイルカ漁を撮影した映画"The Cove"がアカデミー賞を受賞した。私はその映画を見ていないが、受賞の言葉で「日人はイルカをうべきではない」などと語っているのを見ると、その政治的意図は明らかだ。この種の過激派は、グリーンピースやシーシェパードなどよくあるが、アカデミー賞を受けたとなると、その影響は無視できない。 イルカを年2万頭殺すことが残虐なら、年3500万頭の牛を殺すアメリカ人は何なのか。デリダもいうように、高等動物と下等動物の区別には意味がなく、人間と動物の境界も恣意的なものだ。たとえば新生児を殺したら殺人だが、妊娠3ヶ月で中絶するのは犯罪にはならない。逆に、かつては老人を「姥捨て山」に遺棄することは犯罪ではなかった。殺してはならないものの境界を決めるのはそれぞれの時代や地域の文化であ

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  • 秘密の国 オフショア市場 : 池田信夫 blog

    2008年03月03日01:18 カテゴリ 秘密の国 オフショア市場 ファイナンス業界でケイマン諸島の名前を知らない人はいないが、そこに行った人はまずいないだろう。私は1995年に、行ったことがある。書の最後に出てくるユーロバンク事件の取材だったが、驚いたのは島の異様な風景だ。空港のあたりは普通の熱帯の島なのだが、中心部にはまるでウォール街のように堂々たる高層ビルが林立し、それもシティバンクやバークレーズなど、世界の一流銀行ばかり。これが書のテーマである「オフショア」の金融機関だ。 この島が一般の人々にも知られるようになったのは、エンロンがここに700ものSPV(特別目的会社)をつくって、損失の「飛ばし」をやった事件だろう。しかし、こういうトリックはありふれたもので、ユーロバンクやBCCIなど、脱税や麻薬やマネー・ロンダリングの事件には、必ずといっていいほどケイマンがからんでいた。ユ

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  • 民主党政権で初の正しい経済政策 : 池田信夫 blog

    2010年03月13日14:17 カテゴリ経済 民主党政権で初の正しい経済政策 鳩山首相が、法人税の減税に言及した。今週のJBPressにも書いたが、日の実効法人税率が主要国できわだって高いことが、日経済の活力を奪っているので、これは日経済が立ち直るための手がかりとなろう。 ただ「法人税を減税すれば投資が増える」というのは、国内企業については正しくない。投資水準は(ケインズ的にいえば)投資の限界効率で決まるので、税引き後利益が増えてもそれほど増えるわけではない。重要なのは国際資移動への効果である。シンガポールでは13%しか課税されないのに、日ではその3倍も取られるのでは企業の海外逃避が起こり、対内直接投資も昨年はGDPのわずか0.2%である。 左の図はアメリカとそれ以外のOECD諸国の法人税率の比較だが、アメリカの税率は日とほとんど同じだ。このように差が開いた原因は、欧州の経済

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  • 偽のニーチェ : 池田信夫 blog

    2010年03月14日21:53 カテゴリ科学/文化 偽のニーチェ 近所の屋で、このところずっと『超訳 ニーチェの言葉』というがベストセラーのトップだ。発売1ヶ月で16万部を超えたという。立ち読みした感じでは、彼の箴言集から(版元のビジネスである)自己啓発に関連する言葉を拾い出したようだが、これはほとんど偽書である(リンクは張ってない)。ニーチェが口をきわめて攻撃した敵は、史上最大の自己啓発カルトであるキリスト教だったからだ。「超訳」ではなく、原文に忠実に訳すと(強調は原文)、おお、私の兄弟たちよ! いったい人間の未来にとっての最大の危険は、どういう者たちのもとにあるのか? それは善にして義なる者たちのもとにあるのではないか? すなわち「何が善にして義であるかを、われわれはすでに知っており、さらにそれを体得してもいる。このことで今なお探究する者たちに、わざわいあれ!」と口に出し、心に

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  • 正しいセーフティ・ネット : 池田信夫 blog

    2010年03月16日12:09 カテゴリ経済 正しいセーフティ・ネット きのう片山さつきさんとの対談で、ツイッターの反応も同時進行で見たのだが、若者の福祉に対する不安が強かった。税金や年金が団塊以上の世代にい逃げされ、自分たちには重税と不安定雇用が残るのではないか、という絶望が彼らの消費を抑制し、不安をさらに増している。 日のように成熟した社会では、急速な成長を求めるのではなく、福祉による「幸福度」の向上を求めようという民主党の考え方はわからなくもない。しかし、それならまず手をつけるべきなのは、不合理な社会保障制度だ。湯浅誠氏のいうように、現在のセーフティ・ネットは穴だらけで、もっともネットを必要とする零細企業が失業保険を払っていないため、職を失うと「すべり台」のようにホームレスになってしまう。 他方で、福祉の負担を企業に押しつけてきたため、大企業の付加給付や年金負担は賃金総額を上回

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  • 孫正義氏は「電波開国の坂本龍馬」になれるか : 池田信夫 blog

    2010年03月19日08:48 カテゴリIT 孫正義氏は「電波開国の坂龍馬」になれるか 先日の「電波鎖国」についての記事が、ツイッターで孫正義氏にRTされ、700以上のRTがついた。電波の割り当ては、ケータイだけでなく、今後でてくるiPadなどのタブレット端末にも大きく影響する。特に総務省の「700/900MHz帯移動通信システム作業班」で割り当てが検討されている次世代携帯の帯域がどれだけ確保できるかが、今後10年の日の通信産業の運命を決めるといってもよい。 この作業班で、クアルコムなど外資系メーカーは「このままでは日は孤立する」と主張した。日の周波数割り当てだけが欧州・アジアと異なるため、世界の大手ベンダーが日用の通信チップをつくらず、日ベンダーの端末も輸出できなくなるおそれがある。ただでさえ「ガラパゴス化」で競争力の落ちている日企業にとっては、海部美知氏のいうように「棺

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  • 負の産業構造ビジョン : 池田信夫 blog

    2010年03月06日13:51 カテゴリ経済 負の産業構造ビジョン 経産省の産業構造ビジョンの報告書が、あちこちで話題になっている。昔、産業構造審議会の下請けをやった私としては「まだあんなことやってるの?」という感じだが、これを「裏読み」してみると、なかなか興味深い。 多くの人が評価するように、40ページまでの現状分析は、常識的だがよく書けている。特に日経済の停滞という定性的な問題を官庁の統計で分析するテクニックは大したもので、ブログのネタにも使える。たとえば「日の労働分配率は諸外国より高いので、所得再分配よりパイの拡大が大事」(p.7)とか、「グローバル企業とそれ以外の業種の一人当たり付加価値額が乖離しているので、ドメスティック企業の付加価値を高めることが鍵」(p.17)といった問題は当ブログでも論じたが、霞ヶ関も同じ認識のようだ。 問題は、そこからである。日の事業コスト(特に法

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  • 構造改革はGDPギャップを拡大するか* : 池田信夫 blog

    2010年03月07日17:26 カテゴリ経済テクニカル 構造改革はGDPギャップを拡大するか* 「需給ギャップ35兆円」をマクロ政策で埋めるという話は一種の都市伝説で、ここ1年余りの日をみても、財政・金融政策の効果はほとんどない。それは輸出の急減などのリアルな需要ショックを政府が埋めることはできないからだ。こういう数量ショックは、基的には相対価格が変化して調整するしかない。金融政策は、その調整を促進する効果はあるが、需要ショックを埋めることはできない。 こういうときよく出てくるのが、「不況で構造改革をして生産性を上げると、供給が増えてGDPギャップが拡大する」という話だが、これはGDPギャップの概念を誤解している。GDPギャップをわかりやすく「需給ギャップ」と呼ぶことが多いが、これは厳密には需要と供給のギャップではない。 内閣府の説明によれば、GDPギャップの定義は(現実のGDP-潜

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  • 電子出版はすでに始まっている : 池田信夫 blog

    2010年03月03日01:55 カテゴリITメディア 電子出版はすでに始まっている 3月1日付で「株式会社アゴラブックス」を設立し、私が代表取締役に就任した。役員兼社員5人の超零細企業だが、4月から電子書籍の刊行を始める予定だ――といっても、設備は何もない。インフラはGoogle Appsで1人年間6000円。システム管理もすべてアウトソースするので、固定費はゼロ。失敗した場合のリスクもほとんどない。 iPadは今月下旬に日でも発売されるが、それを使って読む電子書籍が日にはほとんどない。このまま放置すると、日音楽流通や映像流通のように欧米に大きく引き離され、中国にも抜かれるおそれが強い。しかし日の業界の実態を知っている人ほど、ビジネスを始めようとしない。電子書籍は、これまで挫折に次ぐ挫折の連続だったからだ。その原因はいろいろあるが、大きくいって次の3つだろう:紙のに匹敵する見

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  • テレビ局が次世代携帯を殺す : 池田信夫 blog

    2010年03月04日13:35 カテゴリIT テレビ局が次世代携帯を殺す テクニカルな話で恐縮だが、マスメディアではまったく取り上げられない問題なので、繰り返し指摘しておきたい。ASCII.jpでも書いたが、アナログ放送終了後に移動体通信に割り当てられる予定の700MHz帯について論争が起こっている。ここでおかしな割り当てを行なうと、日IT産業は致命的な打撃を受けるおそれが強い。 総務省の案では700/900MHz帯をペアで割り当てる方針だが、これは図のように国際的な割り当てとまったく違うため、欧州やアジアで使える通信チップが使えない。この原因は、710~730MHzをITSに渡し、770~806MHzをテレビ局のFPUが占拠しているため、移動体通信に使える周波数が730~770MHzの40MHzしかないことだ。770~800MHz帯はAWFのView1~4でもアップリンクに使われて

  • 国債についての迷信 : 池田信夫 blog

    2010年01月13日08:54 カテゴリ経済 国債についての迷信 AERAの特集が話題を呼んでいる。「インフレがくる」というタイトルはやり過ぎだと思うが、中身はそう荒唐無稽なことが書いてあるわけではない。今すぐにインフレがくる可能性はないが、そう遠くない将来に国債の価格が暴落すると邦銀が一斉に売り逃げ、それを買い支える日銀のオペで通貨が大量に供給され、インフレが起こるというシナリオだ。 問題は、この国債バブルがいつ崩壊するのかということだ。櫻川昌哉氏によれば、向こう100年間に日の財政が破綻する確率は99.91%だが、それが1年後なのか99年後なのかはわからない。資金需給から考えると、あと5年ぐらいはもつと思われるが、10年もつかどうかはかなりあやしい。こういう警告に対して、「金利が低いから大丈夫だ」とか「内国債だから問題ない」とか「政府の純債務は小さい」などという人がいるが、これは迷

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  • バブルは別の顔をしてやってくる : 池田信夫 blog

    2010年03月01日10:17 カテゴリ経済 バブルは別の顔をしてやってくる バラマキ派やリフレ派がよくいうせりふに、「不況のときインフレの行き過ぎを心配する必要はないんだから、思い切りばらまけ」という話がある。たしかに中央銀行のコントロールがきくようになったCPIの急激な上昇は、ここ30年ほど起こっていない。しかし資産インフレ=バブルは以前より頻繁に起こるようになった。 80年代後半の日では、「円高不況」を救済するために行なわれた低金利政策で不動産バブルが起きた。2000年代初頭のアメリカでは、ITバブル崩壊後の不況に対してFRBの行なった金融緩和で住宅バブルが起きた。同じころ日銀の行なった量的緩和によって円キャリー取引が起こり、資金がドルに流れ込んで住宅バブルを加速した。いずれの場合もCPIは落ち着いていたので、中央銀行はインフレを警戒しなかった。バブルはつねに人々の予想を裏切り

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  • 「公開会社法」が日本を滅ぼす : 池田信夫 blog

    2010年01月06日10:35 カテゴリ経済 「公開会社法」が日を滅ぼす きのうツイッターで、藤末健三議員のブログ記事が話題になった。まず単純な事実誤認として、労働分配率の問題を「上場企業の利益の3分の1が配当に回っている」という配当性向と混同しているが、それは大したことではない。私が驚いたのは、2.最近のあまりにも株主を重視しすぎた風潮に喝を入れたいです。 今回の公開会社法にて、被雇用者をガバナンスに反映させることにより、労働分配率を上げる効果も期待できます。という部分だ。思わず「『最近のあまりにも株主を重視しすぎた風潮』ってどこの国の話ですか?」と突っ込んでしまったのだが、これは藤末氏の持論らしい。彼は2年前の記事でも、経産省の北畑隆生次官(当時)を擁護して「株主至上主義の資主義には問題がある」と書いている。 藤末氏(および北畑氏)の「会社は株主だけのものか?」という問いに対する

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  • デフレについての文献リスト : 池田信夫 blog

    2010年02月26日14:28 カテゴリ経済 デフレについての文献リスト 「デフレについてどんなを読めばいいですか?」という質問が来た。最近の政治家や素人のデフレ論議は、10年近く前に経済学者がやった論争を蒸し返している点が多く、池尾さんもいうように既視感が強い。同じ話を繰り返すのは非生産的なので、菅直人氏には無理だろうが、官邸のスタッフや秘書のみなさんには次のぐらいは読んでほしい:Mankiw: Macroeconomics:世界標準のマクロ教科書の最新版で、公務員試験ぐらいの基礎知識があれば読める。ただしdeflationについての言及は3ページしかなく、debt-deflationで信用不安が加速する不安定化効果と、ピグー効果で実質資産が増える安定化効果の両方があると書いている。デフレで経済が崩壊するみたいに騒いでいるのは、一部の日人だけ。 『現代の金融政策』:現役の日銀総

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  • 老人支配の構造 : 池田信夫 blog

    2010年02月28日11:22 カテゴリ経済 老人支配の構造 拙著の「希望を捨てる勇気」というタイトルが、このごろ「日経済をダメにする悲観論」の代名詞として使われるので、ひとこと弁明しておこう。 最後まで読んでいただけばわかるが、これは「古い経済システムを延命すれば何とかなるという希望」を捨てないかぎり、長期停滞を抜け出すことはできないという意味である。経済システムという言葉が抽象的なら、労働市場といってもよい。中高年の「終身雇用」や年金の負担を若年層に押しつけ、おまけに所得再分配の原資まで国債で調達して将来世代から1人7000万円も収奪する老人支配が問題の質なのである。 若者は老人から財産を相続しており、これまでの世代の築いた豊かな社会の恩恵を受けているので世代間格差はそれほど大きくないという批判もあるが、深刻なのは所得よりも雇用である。先日、人事コンサルタントに「雇用規制を緩和し

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  • 「貧困率」についての誤解 : 池田信夫 blog

    2009年11月04日13:04 カテゴリ経済 「貧困率」についての誤解 けさの朝日新聞に「15.7%の衝撃―貧困率が映す日の危機」という社説が出ていて、朝日新聞の論説委員のレベルの低さに衝撃を受けた。日貧困率がOECD諸国で第4位だということは、当ブログでも紹介したとおり5年前から周知の事実で、政府が「それに目を背けてきた」わけではない。大した意味がないから、特に問題にしなかっただけだ。 鳩山首相もこの数字について「大変ひどい数字だ。何でこんな日にしてしまったとの思いの方も多いだろう」とコメントしたそうだが、彼はその意味がわかっているのだろうか。OECDの発表しているのは相対的貧困率で、これは国内の家計所得の中央値(メディアン)の半分に満たない世帯の比率を示す指標にすぎない。絶対的貧困率でみると、次の図のように、日の下位20%の人々の所得(紫色の面積)は最大である。 この図の説

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