近年、大学論がかまびすしいが、実際に大学の中にいる側からすると、いったいどこの大学の話をしているのか、不思議でしかたない。現在、日本の大学は約八百。まさに、やおよろず、で、研究主導から教育重視まで、金満強欲から質素倹約まで、裏口縁故から試験厳選まで、軟弱文系から偏屈理系まで、芸術感性系から体育筋肉系まで、驚くほど多種多様なものがひしめいている。潰れそうなところもあるが、それでもなお踏みとどまっているのは、それなりに手を講じて、他には無い特色を出しているから。 この状況で、むしろ素朴な大学論を語りたがる人たちの方が興味深い。大学関係者ならともかく、さて、彼らになんの関わりがあるのやら。大学が役に立たない、とか、アホ学校に補助金はムダだ、とか、言いたい放題。アホがアホだと自覚して勉強しようっていうんだったら、ムダだ、は、ないんじゃないの? 大学なんて、寺社教会と同じようなもの。もともと実際、歴