◇「今後、医師確保できるのか」 東日本大震災で300を超える病院・診療所が休・廃止状態となった岩手、宮城、福島3県の沿岸部は、震災前から深刻な医師不足に悩まされる「医療過疎地帯」だった。震災で地域医療の抱える問題点がより鮮明に浮かび上がり、病院や診療所をどう配置し、役割分担させていくのかなど、医療の復興へ向けたビジョンを策定することが急務となっている。 「ここで入院できればいいんだけど、今は診療所だから……」 公民館にできた岩手県立大槌病院の仮設診療所。手狭な診察室内は患者や看護師らでごった返していた=岩手県大槌町で2011年5月24日午前9時21分、町田結子撮影 岩手県大槌町の公民館に設置された県立大槌病院の仮設診療所。岩田千尋院長(64)は24日、息苦しさを訴える70代の男性に語りかけた。男性は慢性の肺気腫が悪化した可能性があり、そのまま40キロ以上離れた同県宮古市の病院へ搬送された。