金融政策や財政政策の議論が盛んになされる現代、その考え方は「貨幣」をどう捉えるかによって大きく変わってくる。このほど『日本史に学ぶマネーの理論』を上梓した明治大学准教授・飯田泰之氏によると、日本史を振り返ることで、「貨幣とは何か」について理解を深められるという。 仮想通貨とMMT 近年の貨幣をめぐる議論では、全く性質の異なる、ふたつの貨幣論が注目を集めている。その一つがMMT(Modern Monetary Theory:現代金融理論)による貨幣・金融システム理解であり、もうひとつが仮想通貨の興隆を受けて盛んになった貨幣の自由発行論である。両者の理解は「そもそも貨幣とは何か」という、一定以上の年齢の読者には懐かしいテーマに帰着する。 貨幣は価格や価値の表示として、支払いの手段として私たちの経済のなかにこれ以上ないほどに浸透している。その浸透の深さ故に、現代経済の枠内で「貨幣とは何か」を考え