デザインや規制緩和はそれ自体が目的ではない。ユーザー目線に立った社会に対するビジョンが先にある。 アップル製品のデザイン性の高さにスティーブ・ジョブズの個性の表れが強調されたり、デザイン性が高まってきた韓国製品について「サムスンは大規模なデザインセンターを設置している」などと指摘されたりすることが多い。 しかし、見てくれだけではなくユーザーにとって本当に必要なものをデザインすることも大切だ。例えば、フィンランドの台所。ユーザー視点の食器乾燥棚とシステムキッチンが設計され、国外にも輸出されている。 同国の労働能率協会によると、女性が一生のうちに食器洗いにかける時間は2万9900時間。1日8時間労働として10年分に相当する時間を費やす(『フィンランドを世界一に導いた100の社会改策』公人の友社)。その時間を省くことによって、女性により豊かな人生を送ってもらおうという発想だ。 国の政策においても