リー・モーガンが酔っぱらってサインを書いたジャズ喫茶青森のジャズ喫茶「ブルーノート」のマスター、岡本和夫さんは、青森市内中心部の商店街「夜店通り」の青果店のひとり息子として生まれ育ち、1952年、高校を卒業するとすぐに東京の神田須田町にあった青果店に奉公に出された。 「正月になると浅草の国際劇場でジャズをやるんですよ。白木秀雄が出ていたのを覚えています。浅草にはジャズと映画、そしてジャズ喫茶もありましたね」 ラジオでかかっている〝調子のいいもの〟が好きだったという岡本さんは、クリスマスソングなどからベニー・グッドマンを知り、それが《スイング》というジャンルの音楽だということを覚える。そして映画『グレン・ミラー物語』や『ベニー・グッドマン物語』などを通してジャズの世界になじんでいった。 「住み込みで働いていた店の2、3軒先に中古のレコード屋があったんです。それで秋葉原の中古屋で電蓄を買ってね
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