世界最大の発行部数を誇る読売新聞。その取材姿勢が問われる。(写真:Masato Ishibashi/アフロ) 今年(2021年)3月末に書いた記事「読売新聞「千人計画」特集が覆い隠す日本の基礎科学の危機」で、私は、中国に渡る日本人研究者が増えている問題の本質は「軍事応用を狙った高給引き抜きによる技術流出」ではなく、「中国が近年研究レベルを向上させる一方、日本では研究環境悪化が続き、基礎科学の人材が流出している」ことにあることを指摘した。 このため、読売新聞が執拗に中国の高度人材採用計画「千人計画」で日本の先端技術を盗んでいるという「陰謀論」のような論調は、日本の基礎科学の問題点を覆い隠してしまうのではないかと懸念している。 残念ながら読売新聞は私の記事発表以降も、一面トップ記事を含め、「千人計画」特集を繰り返し継続している。それらの多くは、前回の記事で指摘した問題点、例えば「千人計画とは高