雨宮処凛著『生きさせろ!』(太田出版)を読みました。 私たちは、暴走する資本主義に対し、もはや黙って追従することはできないという雨宮さんの気持ちが、ずっしりと伝わってきました。 構成は、シンプルです。雨宮さん自身がプレカリアート(「不安定さを強いられた人々」)という言葉と出会ったエピソードからはじまり、それが契機となって理不尽な労働環境で働く当事者の話を聞いてまわり、最後に専門家や運動の最前線にいる人から話を聞く、というものです。 花沢健吾さんのイラスト、いいっすね〜。本田透著『電波男』(三才ブックス)のイラストもよかったけど、同書のも最高です! 当事者の話とそれに対する雨宮さんの感想を記したルポルタージュの部分までは、一気に読めました。専門家らの話に入ると、ちょっと読むスピードがダウンしてしまいました。まあ、すでに得ている情報が多かったのが理由かもしれませんが。 ワーキングプアや生存権の
生きさせろ! 難民化する若者たち 作者: 雨宮処凛出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2007/03/13メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 102回この商品を含むブログ (140件) を見る 苛酷で残酷なフリーター、ワーキングプア、ホームレス・過労死などの実態をたくさんの当事者へのインタビューをまじえて剔りだしています。映画にたとえるとマイケルムーアの『ボウリングフォーコロンバイン』、力強いメッセージ性と説得力のあるルポタージュです。この本を読むことで社会の構造をわずかでも変えるような力の契機が生まれる……という楽観的な希望は持てないけれど、当事者にとって救いとなる本であることは間違いないし、環境が恵まれてる人も恵まれてない人も(関係ない・興味ないと思ってる人も当事者だと思ってる人も)読むと色々考えさせられたり熱い気持ちになったりするので読んでみてください。色んな人の反応や感想
ウェブ汚染社会 (講談社+α新書) 作者: 尾木直樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/23メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (15件) を見るタイトルに釣られたようなものですが。 いまどきの小中学生や高校生がウェブをどう使っているか、現場ではどのような問題が起きているのか。 まとまった資料にこれまで目を通したことがなかったので、この機会に手に取ってみました。 前半はゼミの調査結果から導かれたことを数字で報告、後半は子どもを守るための教育論。押さえておきたいのは前者。 著者・尾木直樹氏は教育評論家。1997年の神戸児童連続殺傷事件関連では、宮台真司氏と共著で『学校を救済せよ―自己決定能力養成プログラム』という本を著されています。 以下、気になったポイントを箇条書きで。 ゼミの調査結果から 中学生の6割、高校生の9割がケータイのメールを使っている。 中高
人気blogランキング このブログが面白いと思ったらクリックをお願いします。 ウェブログ図書館 多くの優れたブログの記事へのリンクで構成されたウェブ上の図書館です。このブログも登録されています。 ウェブログ図書館(著者名「後藤和智」で検索) 「ウェブログ図書館」に登録されている私の書いた文章の一覧です。 mixi(ミクシィ) 何となくmixiをやっています。会員限定なので注意。リンク先は私のプロフィールページです。 オンライン書店ビーケーワン 私が書評を投稿しているオンライン書店です。 後藤和智の雑記帳 私のサブのブログです。 [Circle.ms][後藤和智事務所OffLine] プロフィール Circle.msの私のサークルのページです。 後藤和智 (kazugoto) on Twitter 雑感などを書いています。 後藤和智事務所OnLine - トップページ 筆者のポータルサイトで
掛け値なしの劇薬、まじめに読むほど気分が悪くなること必至。最悪なことに、こいつがフィクションでないことを意識して読まされる。ふつうの人は読んではいけません。 「赤ちゃんの値段」があるぐらいだから、「子どもの値段」もあるだろうという安易な発想から見つけたのだが、これがスゴい。ヒドい。「人をモノのように扱う」は比喩だというヌルい感覚は吹き飛ばされる。言葉そのままの意味で「モノ以下」。子どもにとっては地獄そのもの。本書をタネ本とした「闇の子供たち」の方が、フィクションである分、ある種の「安心感」をもって読めたが、これはそれを許さない。 「小さな穴」を求めるオトナにとって、子どもの性別は関係ない。従順で、好きに扱え(暴力を含む)、未発達であるがゆえに締まりが良い穴であれば、関係ないのだ。自由を奪われ、ろくな食事を与えられず、暴行・暴行・暴行。そして、ちょっと言い表せないような性行為を強要される。H
正直、これできちんとした応答になっているのか自信はない。ないけれども、素通りもできないので考えたことを書いてみる。赤木智弘(id:ClossOver)「「丸山眞男」をひっぱたきたい」について。 今日、飢えて死ぬ人がいる。今日、凍えて死ぬ人がいる。etc...。多少なりとも手を伸ばし、誰かの役に立つような何かをちょこちょことやってはみても、まだ全然足りない。一人の力はとても小さいから、また他人よりは自分のことの方が大事だから、できることをそれなりにやったとしても、いつでも全然足りない。だから、社会の仕組みそのものを変えようと考える。うまくいくかどうかさえ分からないのだが、しかし、仮にこれがうまくいったとしても、そのうまくいったその日までに死に行く人には間に合わない。明日、何もかもがうまくいくとしても、今日、死に行く人には間に合わない。 左派であるとは、こうした状況を変えようとする、ということ
藤井誠二のブログノンフィクションライター的日常思い通りにならないはずの他者を思い通りに「する」ことが好きで好きでたまらない人たち 『殺された側の論理』が来週(2月26日)本屋に並ぶ。装丁は鈴木成一さん。すばらしいお仕事をしてくださった。 昨年12月に上梓した『少年犯罪被害者遺族』について、内藤朝雄さんhttp://d.hatena.ne.jp/suuuuhi/20070218 が書評(図書新聞2006.12.17・2810号)を書いてくれた。書評を超えた社会時評である。 本人と版元の承諾を得て掲載させていだたくことにした。 それにしても、内藤さん書くところの、〔ケア・教育系の「する」「させる」情熱でもって、思い通りにならないはずの他者を思い通りに「する」ことが、好きで好きでたまらない人たち〕、言い方をかえれば「心に善意という土足で踏み込んできてコントロールしようとする人々」につい
1995年、 『季刊 人間と教育』(第7号、労働旬報社)に掲載された内藤朝雄さんの文章です。「山形マット死事件」について触れつつ、「いじめ」中学生たちの「世間」を理論的に分析しています。入手しやすいものとしては、『〈いじめ学〉の時代』(柏書房)に、その一部が収録されています。 ******************* 「いじめ・全能感・世間」 (リーダー) いじめは、さまざまな秩序がせめぎあうなかで、いじめタイプの秩序が他を潜在化させつつ独自の位置を占めているのだから、いじめの秩序を徹底的に破壊し他の秩序が繁茂する条件をつくりださなければならない。その破壊すべきいじめの秩序とはどんなものか。 0・はじめに 「いじめ」を手がかりにして、人々がリアルな体験を生きる場としての「世間」を見ていく。すると子どもの「世間」であれ、大人の「世間」であれ、群であることの特徴的で構造的な「いきがたさ」「いきぐ
何て言うか、なさけない事件です。《ゴミを捨てる姿を近所の住民に目撃されており、同署が事情を聴こうとしたところ、「礼状はあるのか」と拒否。》 法律の専門家であるが故に、そんな馬鹿なことを言って余計に墓穴を掘ったとしか言いようがない。 ◆http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070228k0000e040081000c.html 本書のキモは著者が後書きで書いているように 若年フリーターの問題は、組織人としての訓練を受けないまま浮遊する労働力として固定されてしまうということだ。そうだとすれば、経験も訓練も積んだ団塊世代がフリーターになって、若年フリーターとポジションをチェンジすればいいんじゃないかという思いつきからのスタートだった。 そのようなデザインは確かに効率的で互いに問題点を補完する最適なものかもしれない。要は団塊世代の会社人
●今日発売の朝日新聞『論座』の4月号に、私が1月号に書いた『丸山眞男を(略)』に対する応答集が組まれています。 応答という括りでは(以下 敬称略)「佐高信」「奥原紀晴」「若松孝二」「福島みずほ」「森達也」「鎌田慧」「斎藤貴男」という、これだけでも凄まじいビッグネームが並んでいるワケですが、さらに「鶴見俊輔」(その中に「上野千鶴子」の反応も出てくる)「吉本隆明」という、重鎮インタビューでも私の話に触れていただいています。これは内心ガクガクブルブルものですね。 (こうして名前を書くだけでも、全部通して3度ぐらい、名前の間違いがないか、見直してしまった) これについては、論座の少し後の号で再対応します。 決して単純な反論ではなく、前回の話、すなわち既成左派と、私の噛み合わない部分について、もっと明確に深く考えて行こうと思っています。 そうそう、論座の発売日が毎月5日から、毎月1日に変更になったそ
発売は2006年4月。 この特集自体は本当にひどいものだが、議論の雛形を示す資料として、以下のインタビュー(というか対談)を大まかに見ておく。*1 ニートは労働問題ではない ――「自分探し病」という罠 小田晋×三浦雅士 このやり取りでは、『ニート ひきこもり/PTSD/ストーカー (心の病の現在)』(新書館)に掲載された小田氏の論考 「ニート ひきこもり」 が土台として参照されている。 *1:p.60〜88。 以下、強調はすべて引用者。 小田: ぼくは現代の日本の精神病理のひとつの特徴は「水増し正常化」にあると考える。 精神病理の核心が薄らいでいって、たしかにここの症例も薄らいでいっている。 (略) 三浦: 「水増し正常化」というのは衝撃的な言葉ですね。 異常と正常の境界が曖昧になって、異常がどんどん正常と見なされてゆくということですね。 ご本人は「正常」らしいが、基準はわからない。 小田
いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と解体 凸字型コースのハーフパイプに似たいじめ問題 スノボーのハーフパイプという競技は、コースがU字型だから成立する。左右どちらでも端に行けば、競技者にはまん中へ向かう力が加わって、その力はまん中から逸れる程強くなる。そういう力学があるから、競技者は、コースを端から端まで使いきって見事な演技をすることができる。 考えるのも馬鹿馬鹿しい設定だが、もし、これが逆に凸字型に曲がったコースであったら、大半の競技者は滑りはじめやいなや、あっと言うまにコースアウトしてしまうだろう。U字型の場合と逆に、競技者には、外向きの力が加わわり、その力は逸れれば逸れるほど強くなって修正不能になる。 もし、これを滑りきるプレーヤーがいたら、それは単にコースまんまん中を一直線に脇目もふらずに進んだ人間でしかなく、見ている方もやっている方も一つも面白くない。 私がいじめ論議を見て
以前書いた読後録のリサイクル。大学が大衆化するにつれて起る変化を、エリート型大学、マス型大学、ユニバーサル型大学という三つの段階に分けて検証している。この本が出版されたのは1976年だが、その時点で既に大学のマス型化、ユニバーサル型化は問題になっていたということになる。 訳者のあとがきに、この本の要約を表にまとめたものが掲載されている(p194-195)。この本に納められている3つの論文で繰り返し説明が成されているため、この表を見たほうが理解が早いかもしれない。 高等教育制度の段階エリート型マス型ユニバーサル型 全体規模(該当年齢人口に占める大学在学率)15%まで15%以上〜50%まで50%以上 該当する社会(例)イギリス・多くの西欧諸国日本・カナダ・スウェーデン等アメリカ合衆国 高等教育の機会少数者の特権相対的多数者の権利万人の義務 大学進学の要件制約的(家柄や才能)準制約的(一定の制度
このページを作り始めてから10年近くなり、お薦め本の紹介や育てる会の会報も少しずつ増えてきました。 途中で一度HPの容量UPもしたのですが、それも次第に限界に近づいてきたようです。 そこで、このお薦め本のページは、別にブログを作って引越し(リンク)することにしました。 将来はこちらに残すのはリンク元の索引としてのこのページだけにしようかな、と思っています。 ブログの方は、著者名別にまとめていますので、こちらは引越したものから、書名のアイオエオ順の表に並び替えていくつもりです。 全部の本の引越し作業が終わるのはいつになるか分かりませんが、まあボチボチと・・(~o~) (2008.12) お薦めの一冊 (ブログへ引っ越し済の本は上の「書名順索引」をご覧ください) (以下はまだ引っ越しを待っている書籍です) 『 自閉症の手引 ~あなたは隣のレインマンを知っていますか~』 日本自閉症協会 『 アス
このURLの記事は見つかりませんでした。 該当記事は掲載期限が過ぎたか削除された可能性があります。新聞社・通信社からの配信記事は1週間、もしくは1ヶ月の掲載期限が設定されており期限を過ぎたものは自動的に削除されます。 もしエキサイト内のリンクをクリックしてこのページにたどり着いた場合はリンク元、リンク先URLをご明記のうえこちらのページからお知らせ頂ければ幸いです。 掲載期限について
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く