[ロンドン/東京 24日 ロイター] - 世界で大きな紛争や災害・事故が起きた際に、緊急避難的に資金の避難先として日本円を買う、いわゆる「有事の円買い」は投資家にとっての常とう手段だ。 ところが、今年は、世界的な貿易摩擦が発生し、中国の人民元は急落。また米国の大統領が、公然と金融市場に口先介入しないという長年の慣行を無視して、ドル高を嘆いたにもかかわらず、円は弱いままだ。特に今月は、円は先進国通貨で構成される、いわゆる「G10」通貨の中で最も弱くなっている。
たとえエルドアン大統領についてはっきりと語らなくとも、選挙前に相場が大きく動揺していることにトルコの市場調査担当者は神経をとがらせている。イスタンブールを拠点とする証券会社アルヌス・ヤティリムは21日朝の顧客向けメモで、「神よ、トルコを救いたまえ」と記し、「市場が指導力と方向を必要としているのに、中央銀行はただ見守っている」と指摘した。 「弱気もしくは率直なリサーチコメントが欠如し、大丈夫だという誤った感覚」があると指摘するのはインベステック銀行のロンドン在勤トレーダー、ジュリアン・リマ-氏だ。 同氏は4月20日の顧客向け電子メールで、そうした「自己検閲」の広がりを伝えた。「昨日の昼食を共にしたブローカー2人は、市場について独自の見解を表明することは許されていないと非常にあからさまに認めていた。もし弱気な見方を公表したら、ライセンスが剥奪され、職を失うだろうと言っていた」と記した。
80年代以降、世界は10年おきに金融危機を経験してきた。リーマンショックから10年。そろそろ金融危機が起きてもおかしくない。そのとき予想されるのは「1ドル80円」といった急激な円高だ。そして現在の日銀は、急激な円高を和らげる手段を持っていない。ドル円相場の「心地よさ」の裏にあるリスクとは――。 金融危機のきっかけが「米国利上げ」になる理由 残念ながら、金融危機はいつか来るものである。金融市場のグローバル化が進んだ1980年代以降、世界経済はおおむね10年おきに金融危機を経験してきた。ブラックマンデー(87年)、アジア通貨危機(97~98年)、リーマンショック(08年)である。 今年は2018年であるから、近年の経験則から言えば、そろそろ世界的な金融危機が生じてもおかしくはない。筆者を含めたエコノミストやアナリストの多くが、楽観と悲観の立場を問わず、心のどこかにこうした警戒感を持っていると言
財務省の統計によると、直接投資の流出超は13年度以降、10兆円を超えており、16年度には過去最高の17.1兆円に達した。当時のドル・円相場は中国景気への不安や米国の追加利上げ観測の後退などを背景に円高が進み、16年6月には英国の欧州連合(EU)離脱の選択を受けて一時1ドル=100円を割り込んだが、その後は円高に歯止めが掛かり、年末にかけて118円台を回復した。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、これまではリスク回避になると円の上昇が加速しがちだったが、ここ数年あまりそうならないのは対外直接投資に伴う資金フローが出ていることが一因だろうと分析する。 三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの関戸孝洋ジャパンストラテジストも、1、2月は小粒でも相当な件数のM&Aが対外直接投資を押し上げたとし、1-3月に米中通商摩擦などが生じた中でもドル・円が比較的耐えられた背景の一つとし
[ロンドン 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 内心の思いをそのまま口に出すのは危険を伴う場合がある。それが米財務長官ならなおさらだ。ムニューシン財務長官は24日、ドル安が米国にとって好ましいとの考えを示した。経済学の教科書的には、通貨安が輸出業者のためになるという同氏の意見は間違いなく正しい。しかしこの発言は、1995年以降歴代財務長官が受け継いできた公式見解とはっきり異なる。ドルが貿易政策の手段と化せば、米国債を持つ外国人は不利益を被ってしまう。 ロバート・ルービン氏以降の財務長官は、強いドルが米国のためになると繰り返してきた。当初ルービン氏が1995年にこの姿勢を持ち出した際に意図したのは、弱かったドルを押し上げることだった。だがその後は、米当局がドル買いだけでなくドル売り介入をする局面でさえ、嫌と言うほど使われてきたフレーズになっている。 どこまでが強いドルなのかは
金融市場では「リスクオフの円買い」という表現が当たり前のように使われているが、北朝鮮半島の緊張感が強まり当事者である日本の通貨が買われるのに違和感はないだろうか? 実は、円は安全資産として買われているわけではない。いまさら聞けない「リスクオフの円高のメカニズム」を解説しよう。 北朝鮮がミサイル発射すると円高 8月26日早朝に北朝鮮が日本の領空上を通過するミサイルを発射した。地政学リスクの高まりで、29日の日経平均は5月1日以来3ヶ月半ぶりに1万9300円を下回った。「有事の円買い」でドル円は29日に4月17日以来の円高水準となる108円28銭を付けた。 「有事の円買い」は頻繁に起こる。8月10日に北朝鮮がグアム近海へのミサイル発射準備をしていると同国の公営放送が伝えると、ドル円は110円台前半から109円前半まで約1円の急騰をした。今年4月に108台前半をつけた円高局面では、北朝鮮が米中首
経済評論家。1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事。2005年に銀行を退職し、久留米大学に移る。2022年に大学を定年退職となり、現職。著書は『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』(河出書房新社)など、多数。 重要ニュース解説「今を読む」 めまぐるしく変化する世の中で、あふれる情報に付いていくだけでも大変だ。そこで、押さえておきたい重要ニュースを日本興業銀行(元みずほ銀行)の調査部出身で久留米大学商学部教授の塚崎公義さんに分かりやすく解説してもらう。 バックナンバー一覧 地政学的リスクが高まったのに 円が「安全資産」はおかしい 日本時間8月29日早朝、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本の上空を通過した。これを受けて国際金融市場では緊張感が高まり、109円25銭前後で推移していた円相場は、一気に108円50銭前後にまで
[東京 29日 ロイター] - 北朝鮮が事前通告なしに日本上空を通過するミサイルを発射し、金融市場にはリスクオフムードが広がった。円高が進み日本株は下落。米国や北朝鮮がすぐに直接的な軍事行動に出るとはみられていないものの、対話路線が遠のくなかで、国際社会が経済制裁を強化する一方、北朝鮮はミサイル発射を止めない「泥沼シナリオ」が警戒されている。 【ビデオ付き】北朝鮮がミサイル発射、日本上空通過:識者はこうみる <緊張が走った金融市場> 「ミサイルが日本に落ちるかもしれない」──。日本政府の全国瞬時警報システム「Jアラート」が発令され、テレビに「国民保護に関する情報」が大写しされるなか、29日早朝の金融市場に緊張が走った。 109円台前半だったドル/円<JPY=>は108.33円まで急落。1万9400円台だったシカゴ日経平均先物9月限<NIYU7>も、一時1万9045円まで下落した。外為市場で
「比較的安全な資産として円が買われた」世界経済を揺るがす事態が起きる度に度に繰り返されるこのフレーズ。欧州の財政危機、イギリスのEU離脱、米国のシリア空爆、そして北朝鮮で緊張感が高まり、為替が円高になった時にも耳にした。 しかし、この言葉にどこか釈然としないものを感じる人も多いのではないか。 リスク回避で株が売られるのはわかるのだが、なぜ円が買われるのか。なにしろ日本は先進国でも最も借金が多い借金大国のはず。この一見矛盾した現象の背景にある金融市場の裏事情を、FX投資のストラテジストがわかりやすく解説する。 ポイントは2つある 4月7日金曜日午前10時過ぎ、ディーリング・ルームに緊張が走った。それまで安定していた為替市場で、突然円が急騰したからだ。ディーラー達は何が起こったのかを知ろうとモニターに目を走らせる。 「アメリカ軍、シリアに対しミサイル攻撃を実施」 トランプ米大統領が就任後初めて
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