ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』 この本の冒頭でアンダーソンは次のように言います。 「わたしの理論的出発点は、ナショナリティ、あるいはこの言葉が多義的であることからすれば、国民を構成することと言ってもよいが、それがナショナリズム[国民主義]と共に、特殊な文化的人造物であるということである。・・・ナショナリティ、ナショナリズムといった人造物は、個々別々の歴史的諸力が複雑に『交叉』するなかで、十八世紀末にいたっておのずと蒸留されて創り出され、しかし、ひとたび創り出されると、『モジュール』[規格化され独自の機能をもつ交換可能な構成要素]となって、多かれ少なかれ自覚的に、きわめて多様な社会的土壌に移植できるようになり、こうして、これまたきわめて多様な、政治的、イデオロギー的パターンと合体し、またこれに合体されていったのだと。そしてまた、この文化的人造物が、これほど深い愛着を人々に引き起こ