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中東から世界を見る視点 川上泰徳 (2)トランプの「失言」、ネタニヤフとアッバスの「思惑」 ――パレスチナ「和平プロセス」の行方 シリア内戦に隠れてほとんどニュースにならないパレスチナだが、2017年5月に、パレスチナ絡みで2つのニュースが報じられた。一つは、パレスチナ自治政府のアッバス議長が米国ホワイトハウスに招かれ、トランプ大統領と会談したことである。もう一つは、ガザ自治区を支配しているイスラム組織「ハマス(イスラム抵抗運動)」が、ヨルダン川西岸とガザでパレスチナ国家を樹立することを支持する「政策文書」を発表したことだ。 パレスチナ紛争は「歴史的な」節目を迎える まず、アッバス議長とトランプ大統領との首脳会談の意味を考えてみよう。トランプ大統領は会談後の記者会見で、「イスラエルとパレスチナの合意は最も困難なものと言われてきたが、我々はそれが間違いであることを証明しよう」と語った。それに
カナダ文学界の巨匠、マーガレット・アトウッド原作の小説『ザ・ハンドメイズ・テイル』(邦題:侍女の物語)がこの度、米映像配信サービスHuluでシリーズ化され、4月末にアメリカ、カナダ、イギリスでプレミア放映された。すでに今月頭には2018年シーズン続行が決まっている。 昨年、制作決定が公表された段階から放映前にかけて、欧米の主要メディアでこぞって報道されているが、なぜ一介のTVシリーズがこれほどまでに世界的な注目を集めているのだろうか。 ◆今では笑えないストーリー 1985年刊行の『ザ・ハンドメイズ・テイル』は、カナダの文学賞の最高峰である総督文学賞ほか数々の文学賞を受賞し、世界的権威であるブッカー賞の候補にもなった。1990年に一度映画化されている(坂本龍一氏が音楽を担当)。かつてはアメリカ合衆国だったと思われる近未来の暴力国家を舞台としたディストピア小説だ。女性は国家の所有物であり、「保
はじめに 次第に国家が意味を失っていく、いま世界はそんな時代に入りはじめたのではないだろうか。 20世紀終盤にソ連が崩壊したとき、旧ソ連はいくつかの国に分解した。それが何を顕しているのかといえば、旧ソ連が国家としての意味を失っていたということである。だからそれは分解することになった。同じ時期に旧ユーゴスラビアやチェコスロバキアも分解している。それらの国もまた、国家としての意味を失っていた。 このときは社会主義の崩壊として語られていたが、もうひとつ見逃してはいけないことは、国家の虚無化がすすんでいた、それ以前の国家が存在意義を失っていたということである。国家は黄昏化がすすむときがある。 このときの動きは、これからの時代を先取りしていたのかもしれない。イギリスはこれからスコットランド、北アイルランド、ウエールズ、イングランドに分解していくかもしれない。ベルギーもふたつの国になる可能性を秘めてい
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