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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/picture (9)

  • 難民の旅の悲惨な終着点リビア

    THE LINE BETWEEN GOOD AND EVIL Photographs by MOISES SAMAN トリポリのシッカ通りにある収容所はリビア内務省が管轄。移民・難民の多くはサハラ砂漠以南の国々の出身で、劣悪な環境の中で国送還を待つ アフリカから欧州を目指す難民の波は今も絶えない。サハラ砂漠以南や北アフリカをくぐり抜けた彼らの過酷な旅は最後に、最も危険な場所にたどり着く。地中海への玄関口リビアだ。 内政の混乱が続くリビアを支配するのは民兵組織の寄せ集め。彼らは密航業者の人身売買に加担し、移民・難民への虐待や人権侵害を行っているとされる。 首都トリポリでは密航を待つ大勢の男女や子供が隠れ家などから追い立てられ、移民・難民収容所に送り込まれていく。シッカ通りの施設では、不衛生な倉庫に男性約1500人が閉じ込められている。トイレもシャワーもなく、用を足すのは空のペットボトルかビ

    難民の旅の悲惨な終着点リビア
  • 軍事用カメラが捉えた難民のむき出しの生

    INCOMING Photographs by RICHARD MOSSE 大型車両にすずなりになっているのは、アフリカ各国からサハラ砂漠を越えて北を目指す難民たち 世界は今、第二次大戦以降で最大の難民危機の真っただ中にある。内戦から、迫害から、気候変動から逃れた何百万もの人々が、住む場所を追われ、過酷な旅を強いられている。 その姿を斬新な機材で記録したのが写真家リチャード・モス。熱放射で30.3キロ先の人体を感知できる軍事監視用の赤外線サーマルカメラを使っている。 最初にカメラを設置したのは、トルコ南東部キリス近郊の高台。地平線の先にはシリア北部の要衝アレッポが横たわる。肉眼では、立ち上る煙が見えるのみ。だがカメラを通すと全く違う世界が広がった。炎に包まれた建物、身を潜める兵士......。 モスはこのカメラで、ヨーロッパを目指す難民・移民がたどる2つの主要なルートを捉えた。 1つはシリ

    軍事用カメラが捉えた難民のむき出しの生
  • ヤジディの悲劇はなぜ起きたのか

    THE PRAYER OF THE YAZIDIS Photographs by NORIKO HAYASHI <バディア(1979年生まれ)>14年8月3日、暮らしていたイラク北部の村にISISが侵攻。彼女は若い女性たちとバスでシリアのラッカに連れて行かれ、オーストラリア人の戦闘員の家で掃除係として働かされた。その後、救出されて現在は親戚とイラクの難民キャンプで暮らす(個人が特定されないように白いスカーフ越しに撮影) 2014年8月、私は滞在中のトルコでテレビを見ていた。そこで繰り返し報じられていたのは、イラクから少数派ヤジディ教徒がトルコに逃れて来ているというニュースだった。 世界に60万~100万人いるとされるヤジディ教徒のうち、多くが暮らしていたのがイラク北西部のシンジャール山と周辺の村々だ。当時イラクで勢力を拡大し、次々に都市を制圧していたテロ組織ISIS(自称イスラム国)は、シ

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  • 世界が抱える環境移民という時限爆弾

    ENVIRONMENTAL MIGRANTS Photographs by ALESSANDRO GRASSANI <セイス村(エチオピア)>ケニア国境沿いの村々ではずっと降雨がなく、人々はべ物も飲み物も手に入らず困窮している。飢餓で最も苦しみ、犠牲になるのは老人と子供だ 環境の悪化や気候変動による自然災害などのため住む場所を離れなければならない「環境移民」。彼らは不発弾のような存在であり、遠くない将来、世界はその経済的・社会的な負担に直面するだろう。 現在5000万人いる環境移民は50年までに45人に1人、つまり2億人に上るとされている。その90%は途上国の人々。彼らは豊かな国ではなく、自国の都市部へ移り住んで新たな収入の道を探ろうとする。08年には史上初めて世界の都市人口が農村人口を超えたが、今後は気候変動と環境移民で都市部はさらに肥大化していくだろう。 写真家アレッサンドロ・グラッ

    世界が抱える環境移民という時限爆弾
  • 教育も未来も奪われて働くシリア難民の子供たち

    SACRIFICED GENERATION Photographs by EMIN OZMAN <ゼイネップ(12、写真左端)>トルコ南部のメルシンの織物工場で集中して機械に向かうゼイネップは、シリア北部のコバニから逃れて1年以上になる。父は別の作業場でアイロンがけを、彼女はパジャマにポケットを縫い付ける仕事をして4人のきょうだいを養う。週に6日、1日10時間の労働で、毎日約3000のポケットを縫い付ける。「ここでは働くしかない。父を支えなければ家族が生活できない」 シリアで内戦が勃発して5年。人口2200万だったこの国から、戦火を逃れた490万人がヨーロッパや周辺諸国に脱出し、660万人が国内避難民となった。ヨーロッパが事実上門戸を閉ざした今、多くのシリア難民が、特にトルコ国内で、非人道的な環境下で生活している。 ユニセフ(国連児童基金)によれば、トルコで難民登録されたシリア人270万人

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  • ロンドンに潜むムスリム差別

    MUSLIMS IN LONDON Photographs by Q.SAKAMAKI イスラムの伝統衣装に身を包んだ女子学生たち。東ロンドンのタワーハムレッツ区には敬虔なイスラム教徒が多数暮らしている イスラム教徒のサディク・カーンが新市長に選ばれたことで「融合」の象徴として期待されるロンドン。だがそんな世界有数の多文化共生都市にも人種や民族間の軋轢はあり、なかでもイスラム教徒への反感は根深い。英社会に溶け込む努力を重ねるムスリムは多いが、黒ずくめの伝統衣装や髪を覆うヒジャブに抵抗感を持つ市民も少なくない。 宗教的な対立が高まる背景には、英経済の低迷や失業率の増加がある。さらに再開発によって地価が高騰し、中流階級までが住む場所を追われる事態が多発していることも、市民の不安を高め、異文化への憎悪をあおる温床となっている。 そんな逆境のなか、ムスリムの人々、特に若者は音を隠して生きようとし

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  • IT立国を目指すルワンダの若き力

    AFIRICA'S SILICON VALLEY Photographs by JUAN HERRERO 首都キガリにある、テクノロジー業界で起業を目指す人々を支援する施設「シンク」。その一室で夜遅くまでパソコンに向かうティモシー・ムウィジヒレ ルワンダの首都キガリに、テクノロジー業界での起業を目指す人々を支援する施設「シンク」がある。その一室でティモシー・ムウィジヒレは、夜遅くまでパソコンに向かっていた(冒頭写真)。隣の部屋では著名な銀行家による講演に数十人の若者が耳を傾け、積極的に質問していた。 100万人近くが犠牲になったとされるルワンダ虐殺から今年で22年。この国はIT立国を掲げるポール・カガメ大統領の下で目覚ましい発展を遂げ、「アフリカの奇跡」と呼ばれる。3選禁止の憲法を改正したカガメは今年1月、来年の大統領選へ向けて3選出馬を表明した。 写真家のフアン・エレーロはルワンダに6週

    IT立国を目指すルワンダの若き力
  • シリア難民が誇りと夢を取り戻した街

    DAMASCUS ON THE BOSPHORUS Photographs by ALESSANDRO GANDOLFI シワン・イスマーイル(23)は、14年8月に家族とイスタンブールに来た。シリアでは大学で経済学を学び、今は旅行代理店で働く。「トルコの人たちは私をシリア人と思わない。ベールを着けず、物乞いもしないから」と彼女は言う。「学位やお金、ビジネス経験のあるシリア人も大勢いるのを彼らは知らない」 内戦を逃れたシリア難民が最も多く流入しているのは隣国トルコ。その数は220万人にも上るが、彼らは正規の労働を認められておらず、生活は苦しい。25万~30万人が難民キャンプで暮らし、危険を冒してヨーロッパを目指す人も少なくない。 一方、厳しい現実の中でたくましく人生を再始動させた人々もいる。100万人近くの難民が暮らし、国外最大の「シリア人都市」となっているイスタンブールで、写真家アレッサ

    シリア難民が誇りと夢を取り戻した街
  • 打ち捨てられたイタリア文化遺産

    DYING BEAUTY Photographs by Stefano De Luigi シチリア島のセリヌンテにある古代ギリシャの遺跡、ヘラ神殿。いくつかの修復家チームが損壊を防ごうと手を尽くしてきたが、費用不足の影響は大きい。最後に修復作業が行われたのは80年代だが、鉄の棒が石に残されたままでかえって痛みの原因になっている(14年5月) 「コロッセオ(円形闘技場)がある限り、ローマはある。コロッセオが崩壊すれば、ローマは崩壊する。ローマが崩壊すれば、世界が崩壊する」。8世紀の聖職者ベーダのこの言葉は、勝利の可能性と戒めを垂れるものとして今日でも示唆的だ。 芸術・文化遺産が数多いという点で、イタリアは世界でも比類なき存在だ。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の文化遺産の数は世界一だし、憲法で「歴史・芸術遺産」の保護をうたう数少ない国でもある。 だが経済危機による財政難で、多くの文化遺産や遺

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