強烈だった“たった2回の指導”とは 強くなるための努力と勉強は、情熱を注いでやっているつもりだった。 アマチュア時代から習慣化している詰将棋や棋譜並べ、そして「研究会」と呼ばれる棋士同士の練習対局も積極的にこなし、それらが糧となっている実感もあった。 だが成績は上向かない。タイトル戦への挑戦という目標にリアルさは感じられず、描いていた未来と直面している現実とのギャップは大きくなるばかりだった。 どうすれば、強くなれるのだろうか。 先輩棋士にアドバイスを求めたが、何者でもない彼女が抱えている問題の解決策には至らなかった。それもそうかもしれない。何が問題なのか、当時の彼女自身が気づいていなかったからだ。問題を把握していないのだから、聞かれた棋士も適切な回答など出しようもない。 その糸口を見つけられない日常に、徐々に自分の先が見えなくなり始めていた。いや、正確に言えば、女流棋士として見渡す景色の