芳札*1披見候、誠今度者早〻依帰国、残多覚候*2、仍関東堺目無異義旨尤候、今少之間ニ候、弥無油断可被入精候、就其北条懇望之由*3、如書中何共申候へ、京都ハ御赦免之上不沙汰、不及言舌儀候、自然号御侘言書状等持参者候者、可被為生涯*4候、随而御出馬相延候程可然旨、異見無余義候、然者三月朔日を二月一日ニ可被成候哉、急候て可然との事候者、正月一日も可有御動座候、其外御延引者一切不可成候、惣別*5於駿遠御越年程ニ雖被思召候、諸卒*6用意如何与、三月朔日之御出馬ニ被相究候、次兵粮米調之儀、成次第*7可有馳走*8候、自此方過分ニ被為悉*9候条、被闕*10御事*11候事、不可在之候間、可御心安候、猶浅野弾正少弼*12可申候、穴賢、 極月廿八日*13 秀吉(花押影) 駿河大納言□□□*14 (四、2872号) (書き下し文) 芳札披見候、誠にこのたびは早〻帰国により、残り多く覚え候、よって関東堺目異義なき