筆者は代数幾何学の研究をしたことがない。連接層の導来圏というと今、流行の代数幾何学における分野を連想するが、筆者にはそれを語ることはできない。筆者の勉強のために、語ってもいいのであるが、無料提供とはいえ、あまりいい加減な記事を投稿するのもどうかと思われる。したがって、今回は、連接層の導来圏と代数幾何学、ではなく連接層の導来圏と複素幾何学の関係について述べたいと思う。 まず、今回の記事は否定的な内容であると断っておく。連接層の導来圏を考える意義というのは、代数幾何学にしかなくて、複素幾何学では、ほぼ考える価値はない。連接層を考えるということは、部分多様体を考えるということなのであるが、一般のコンパクト複素多様体には部分多様体があまりない、つまり、あまり連接層を持たないので、連接層の導来圏は、あまり構造をもたず、考える意味がないのである。 ただ話はこれで終わりではない。非ケーラー多様体の中には
コンパクト複素多様体の複素構造を考察するとき、もっとも重要なのは、その解析的部分集合であると思われる。ここで、複素多様体としてコンパクトなものを考えていることに注意する。コンパクトというのは、ただ単なる位相的な言葉であるが、複素多様体において、コンパクト複素多様体と、非コンパクト複素多様体は、そもそも出自が違うように筆者には見えている。世界が違うのである。コンパクト複素多様体の起源は、射影代数多様体にあると、過去に筆者は述べた。射影代数多様体はもちろんコンパクトである。つまり、コンパクト複素多様体と射影代数多様体は似通った存在と考えることができ、非コンパクト複素多様体とは趣を異にする。複素多様体がコンパクトであるとどういう面白い性質をもつのか、解析的部分集合を題材にして、以下に述べていこう。 解析的部分集合というが、一般にコンパクト複素多様体には、非自明な解析的部分集合というのは、あまり存
今回は、以前ブログで扱った「コンパクト複素多様体の起源」の続編である。コンパクト複素多様体というと、真っ先に浮かぶのは射影代数多様体である。射影代数多様体とは、アフィン代数多様体の定義方程式を斉次化して得られる、コンパクト複素多様体である。もっと言うと、$${\mathbb{C}^{n}}$$の中で定義された代数多様体というのは、しかるべき$${\mathbb{C}^{n}}$$のコンパクト化である、複素射影空間$${\mathbb{P}^{n}}$$でコンパクト複素多様体を定めるのである。複素幾何では、複素射影空間とはケーラー多様体となり、射影代数多様体ももちろんケーラーである。コンパクト複素多様体にはケーラー計量の入らないものもある。複素幾何学的には、非ケーラーコンパクト多様体と射影代数多様体は、かなり遠い存在に思えるが、実は、コンパクト複素多様体というのは、射影代数多様体の親戚くらい
先回、ツイスター空間論を述べた際に、スピノールなる概念を未定義のまま使用した。スピノールとは、数学的には特殊直交群の二重被覆となるスピン群の表現空間の元のことを言う。物理学では、スピノールとは、素粒子の内部自由度、つまりスピン自由度を表すものとして導入された。物理的には、素粒子の内部自由度であるスピンを考慮に入れたスピノールを考えることは、ベクトルを考えることよりも根源的であると考えられる。数学的には、実4次元において、場の理論と複素幾何学との対応を与えている点において、スピノールは空間とは何かということを考えるきっかけになっていると、筆者は思っている。今回は、そういったことを書くつもりである。 以下では、実4次元の空間について考えよう。理由は、この世界の物理空間が4次元空間として表現できるからである。空間には角度という概念がある。先回までに紹介したツイスター空間では、ツイスター空間の複素
A. Takeuchi showed that the negative logarithm of the Fubini-Study boundary distance function of pseudoconvex domains in the complex projective space CPn, n ∈ N, is strictly plurisubharmonic and solved the Levi problem for CPn. His estimate from below of the Levi form is nowadays called the ‘Takeuchi's inequality.' In this paper, we give the ‘Takeuchi's equality,' i.e. an explicit representation o
数学の解説コラムの目次へ 数学の微分幾何学の一分野である「調和積分論」についてのまとめ。 フィールズ賞を授与された日本人の数学者,小平先生が活躍している。 調和積分論の概要について 受賞について 調和積分論の概要について 小平先生の数学と人間像 http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~851051... [3.調和積分論]19世紀の中ごろ Riemann は,代数曲線という具体的なものを離れて一般に抽象的な考察をし,現代でいうところの多様体の概念を導入 その後、位相幾何学などの発展を受けて Weyl がより厳密に取扱い「リーマン面の概念」という本を著した(1913年)。 そこにおいて解析多様体の基本概念が確立され、その上の自明でない複素解析関数(有理型関数)の存在が示された。 それを示すために, 複素関数を実部と虚部にわけ, それらを2次元の調和形式として認識し、与え
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く