この図は、ブラーフミー文字という共通の祖先から枝分かれして今日に至ったインド系文字の「系図」です。 紀元前3世紀に現れたブラーフミー文字は、やがて北方系と南方系の2つに分かれ、それぞれが独自の発展を遂げていきます。 北方ブラーフミー文字の流れからは、北部・中部インドの広い範囲で用いられるデーヴァナーガリー文字をはじめ、東部のベンガル文字やオリヤー文字、西部のグジャラーティー文字、北部のグルムキー文字など、主としてインド・アーリア系言語を書き表す文字が生まれ出てきました。チベット文字も、北方系の流れをくむ文字です。 一方、南方ブラーフミー文字の流れからは、南インドのタミル文字、マラヤーラム文字、テルグ文字、カンナダ文字など主としてドラヴィダ系言語を書き表す文字が生まれました。島国スリランカのシンハラ文字もこの流れです。 さらに南方系の文字は、海を渡って東南アジアの島々や大陸部に伝わりました。