福島第一原子力発電所で事故対応にあたった東京電力の作業員が体内に吸い込んだ放射性セシウムは、当初の予測より、体外への排出が遅いという追跡調査結果を、放射線医学総合研究所の谷幸太郎研究員らが発表した。 谷研究員らは、セシウムの一部が水に溶けにくい化合物になり、肺に長くとどまるためではないかと推定している。被曝(ひばく)線量を見積もる計算モデルの見直しにつながる可能性があるという。 同研究所では、事故直後に原子炉の中央制御室で監視業務などにあたり、被曝線量が特に高かった作業員7人について、年に数回、検査を受けてもらい、体内のセシウム137などの量を測っている。 作業員のセシウム量は、事故後、約2年間は、「肺から血液へ溶け込み、尿などを通じた排出により、70〜100日ごとに半減していく」という予測通りに減少していた。しかし、2013年の半ば頃から減り方が鈍くなった。