多数の動物を劣悪な環境で飼育する「多頭飼育崩壊」の発生が後を絶たない中、動物愛護団体が、平成30年をめどに行われる動物愛護管理法の見直しに向け、裁判所による飼育禁止命令などを盛り込むよう働きかけを始めた。背景にあるのは、崩壊を起こす飼い主の特性や、同法に基づく行政介入の難しさだ。なかなか好転しない状況に、関係者は苦悩を深めている。(社会部 菅野真沙美)(※6月8日にアップされた記事を再掲載しています) 「金銭的、精神的に限界」 「室内は糞(ふん)尿の臭いがこもり、壁や床の一部はシミがついて腐った状態。けがをして片方の前足を使えない状態の猫もいた」。猫の殺処分ゼロを目指し活動するNPO法人「ねこけん」(東京都練馬区)代表理事の溝上奈緒子さん(41)は、東京都葛飾区の一戸建てで、5月上旬に約50匹の猫を保護した際の様子をこう振り返る。 飼い主の女性から「金銭的にも精神的にも飼い続けるのは限界」