98.10.10 「太陽の季節」のころ 石原慎太郎の小説「太陽の季節」は、1955年度の芥川賞を受賞して大反響を呼び、翌1956.05には日活で長門裕之・南田洋子の主演で映画化され、後のスーパースター石原裕次郎が注目されるきっかけを作りました。 僕などから見ると、すでに古典であり、権威でもあります。当時の人々からも圧倒的な支持を受けていたものと思っていましたが(事実、テレビなんかではそう紹介している)、古い新聞記事を繰ってみると、必ずしもそうとも言えないようです。 「朝日新聞」の「声」を見ると、思わず苦笑するような批判が載っています。 ◇芥川賞というパスポートをふりかざして、これでもか、これでもかとどぎつい性の退廃を露出してくる男を、出版界や映画界が金もうけ主義のためにかつぎ上げている様子、また世の大衆が、それを何の思慮もなく受入れてしまうこと、はてはそれを世情なりと書き立てるジャーナリズ