低線量放射線の被ばくによる発がんを心配する人は多い。しかし、専門家は「発がんリスクは一般に広がった想像よりも、発がんリスクははるかに低い」と一致して指摘する。福島原発事故の後で、放射線との向き合い方について、専門家として知見を提供する中川恵一・東大准教授に聞いた。(全3回) (1・発がんは増えますか?) (2・福島で甲状腺がんは増えたか?) 問い4 避難している人たちの健康ではどんな点を心配していますか? 答え4 生活習慣の悪化が影響した病気の増加を懸念しています。 ――中川先生はチームを組んで福島の支援活動を続けてきました。どういう理由からだったのですか。 中川 私は、東大病院の緩和ケア部門の責任者です。この部署では放射線技師、看護師、医師、心理学カウンセラーなどさまざまな専門家ががんの治療に関わります。そのために原発事故で、いろいろな知恵を活用しやすいと思いました。「チーム中川」という