1954年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。マドラス大学ラーダークリシュナン哲学高等研究所博士課程修了(Ph.D.)。現在、東北大学大学院国際文化研究家教授。専門はインド思想史・文化史、タミル文学。『ムトゥ 踊るマハラジャ』などインド映画の日本語字幕監修も数多く務める。主な著書に『ヒンドゥー教とインド社会』(山川出版社)、『ヒンドゥー教 インドという〈謎〉』『ヨーガの思想』(ともに講談社選書メチエ)、『古代インドの思想 自然・文明・宗教』(ちくま新書)などがある。 インドの教育文化において、「暗記」はヴェーダ(古代インドで編纂された、インド最古の宗教文献)以来実に3500年の歴史をもつ。インド人は書くことより覚えることを重んじ、さまざまな分野で驚異的な記憶力を発揮してきた。バラモン教ではそもそも古代聖典ヴェーダの暗唱がそうであるし、初期仏教の経典群も、個々の弟子たちが集